浅黄色の恋物語
 この仕事を初めて30年。 いろんな人たちを見てきた。
ホテルでの出張もやってきた。 アメリカ人も頼まれたよ。
あの時は緊張したなあ。 優しいお兄さんで良かった。
 かと思えば変態じいさんも居たなあ。 「気持ちいいことしようや。」って金を持たせるんだもん。
あれは焦ったよ。 (マジに変態だ。)って。

 女のマッサージ師に聞くとね、「全身揉んでくれなかった。」って文句を言われるんだって。
不思議に思って聞き返したら「前だよ 前。」って言われて爆笑しちゃったとか。
 そりゃそうだよ デリとかソープじゃないんだから。
 って言うけど無資格のマッサージ屋さんはそこまで丁寧にやる事業所が多いんだってね。
だからぼくらが誤解されるんだよ。 サービスが悪いとか言っても聞いてくれないとか、、、。

 さてさて文句はこのくらいにして次の部屋に行きましょうか。
うん、モノレールみたいなドアだねえ。 そりゃそうだよ。
下にレールが有ったらみんな転んじゃうから。
 高齢者ってね、よく見ると爪先を上げないで歩く人が多いんです。
しかも摺り足だから余計に爪先が上がらない。
だから畳の縁とか小さな段差で躓いて転ぶんですよ。
 ぼくはその辺をすごく気にしてます。
 膝を5センチだけ高く上げると爪先が下がったままでも上がったように見えて安全なんだけどなあ。
次は70代のおばあさん。 この人もそんなに話す人じゃないんだよね。
ずっと話してる人も居るけどさ、、、。
 (体が冷えてるなあ。) マッサージをやりながら手を暖めてやったりもします。
足だって冷たいと寝れないし不安にもなるし、、、ね。

 高齢になると痩せてくる人が多いのかな? ゆったりしてる人はそう見ない。
たまに(デブだなあ。)って思う人も会うことは会うんだけど。
 でもさ、70年80年 苦労してきたんだなって思うと考え深い物が有る。
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