『夢の旅人』 ~過去へ、未来へ~
古い二階建ての木造アパートだった。
道路に面した北側に玄関があり、その前が駐車場になっていた。
建屋の左側に〈く〉の字の形をした外階段があり、その脇に郵便受けが並んでいた。
205号室が高松さんの部屋だった。
階段を上がって高松さんの部屋の前に立つと、ホームセンターで売っているようなネームプレートがドアに貼り付けてあった。
すぐに鍵を隠せそうなところを探したが、のっぺりとしたドアに隠す場所はなかったし、ドア前に植木鉢も牛乳箱もなかった。
もしかしてドアが開く……訳はなかった。
しっかり閉まっていた。
窓も同じだった。
わたしは思案に暮れた。
「何かヒントになるようなことを言っていませんでしたか?」
責めないような口調で彼女が顔を覗き込んだが、力無く首を横に振るしかなかった。
「そうですか……」
彼女も思案するような顔になったが、「多分違うとは思いますが、念のために下の郵便受けを見てみましょうか」と階段の方へ目を向けた。
わたしもそれ以外考えつかなかったので、彼女の後ろから階段を下りた。
道路に面した北側に玄関があり、その前が駐車場になっていた。
建屋の左側に〈く〉の字の形をした外階段があり、その脇に郵便受けが並んでいた。
205号室が高松さんの部屋だった。
階段を上がって高松さんの部屋の前に立つと、ホームセンターで売っているようなネームプレートがドアに貼り付けてあった。
すぐに鍵を隠せそうなところを探したが、のっぺりとしたドアに隠す場所はなかったし、ドア前に植木鉢も牛乳箱もなかった。
もしかしてドアが開く……訳はなかった。
しっかり閉まっていた。
窓も同じだった。
わたしは思案に暮れた。
「何かヒントになるようなことを言っていませんでしたか?」
責めないような口調で彼女が顔を覗き込んだが、力無く首を横に振るしかなかった。
「そうですか……」
彼女も思案するような顔になったが、「多分違うとは思いますが、念のために下の郵便受けを見てみましょうか」と階段の方へ目を向けた。
わたしもそれ以外考えつかなかったので、彼女の後ろから階段を下りた。