『夢の旅人』 ~過去へ、未来へ~
わたしがすることは、先ずチラシを戻すことだった。
さっきまではみ出していた受け口がすっきりしているのはどう見てもおかしいので、乱雑に突っ込んで元の形のようにした。
それから、隠れる場所を探した。
しかし、適当な場所は見つからなかった。
近くにバス停でもあればバスを待っているような振りもできるし、電話ボックスでもあれば電話している振りもできるのだが、そんなものはどこにもなかった。
どうしたものかと考えていると、階段を降りる音が聞こえた。
とっさにアパートに背を向けてスマホを見るふりをした。
わたしの横を年配の男性が通り過ぎていった。
チラッと見られた気はしたが、怪しまれたような感じはなかった。
その人が見えなくなるまで待ってもう一度辺りを窺ったが、隠れる所はなさそうだった。
困った。
しかし、どうしようもなかった。
腕組みをして郵便受けを睨むように見ていると、突然背後に何かを感じた。
振り返ると、プレハブの倉庫がわたしを呼んでいるように思えた。
引き寄せられるように近づくと、塀との間に隙間があるのを見つけた。
体を入れた。
入った。
完全に隠れることができた。
これなら大丈夫そうだ。
しかし、ここに隠れたままでは郵便受けで操作する人の手は見えない。
アパートの住民が戻ってきたらここから出て、操作しているところを見なければならないのだ。
さ~どうする?
怪しまれないようにするにはどうすればいい?
しかし、考えても答えは見つからなかったので、無駄なあがきは止めた。
こんな時は流れに任せるしかないのだ。
下手の考え休むに似たり、
その時はその時、
なるようにしかならない、
と言い聞かせて、倉庫の裏に隠れて待った。
さっきまではみ出していた受け口がすっきりしているのはどう見てもおかしいので、乱雑に突っ込んで元の形のようにした。
それから、隠れる場所を探した。
しかし、適当な場所は見つからなかった。
近くにバス停でもあればバスを待っているような振りもできるし、電話ボックスでもあれば電話している振りもできるのだが、そんなものはどこにもなかった。
どうしたものかと考えていると、階段を降りる音が聞こえた。
とっさにアパートに背を向けてスマホを見るふりをした。
わたしの横を年配の男性が通り過ぎていった。
チラッと見られた気はしたが、怪しまれたような感じはなかった。
その人が見えなくなるまで待ってもう一度辺りを窺ったが、隠れる所はなさそうだった。
困った。
しかし、どうしようもなかった。
腕組みをして郵便受けを睨むように見ていると、突然背後に何かを感じた。
振り返ると、プレハブの倉庫がわたしを呼んでいるように思えた。
引き寄せられるように近づくと、塀との間に隙間があるのを見つけた。
体を入れた。
入った。
完全に隠れることができた。
これなら大丈夫そうだ。
しかし、ここに隠れたままでは郵便受けで操作する人の手は見えない。
アパートの住民が戻ってきたらここから出て、操作しているところを見なければならないのだ。
さ~どうする?
怪しまれないようにするにはどうすればいい?
しかし、考えても答えは見つからなかったので、無駄なあがきは止めた。
こんな時は流れに任せるしかないのだ。
下手の考え休むに似たり、
その時はその時、
なるようにしかならない、
と言い聞かせて、倉庫の裏に隠れて待った。