『夢列車の旅人』 ~4人の想いを乗せて過去へ、未来へ~
「ごめんなさい」
 玄関に入って、ドアを閉めるなり、彼女が謝った。
「まさか、反対に回していたなんて……」
 穴があったら入りたいという顔をしていた。
 わたしは右手を振って、たいしたことではないと伝えた。
「そんなことより、ラファエッロの誕生日という推理が当たったんだから凄いですよ。それに、扉の裏側にも気づいたんだから大手柄です」
 それで話を打ち切ろうと、部屋の中を覗いた。
 玄関の先は台所だった。
 四畳半ほどだろうか、小さな冷蔵庫とガスコンロと小型の電子レンジがあるだけだった。
 
 
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