『夢列車』   ~過去行き、未来行き~
8月17日
       ∞ 2020年8月17日 ∞

 目が覚めると、パジャマ代わりのTシャツがぐっしょりと濡れていた。
 しかし、その原因は悪夢だけではなかった。
 部屋の温度が異常な状態になっていた。
 余りにも暑すぎてたまらなくなって体を起こすと、シーツがびっしょりと濡れていた。
 気持ち悪くなって布団から抜け出したが、ちゃぶ(・・・・)の前に座ると動けなくなった。
 
 しばらくそのままでいたが、頭のぼんやりは治らなかった。
 睡眠が足りていないようだった。
 スマホの画面をタップすると、12時20分と表示されていた。
 
 ということは……、

 夜勤が終わったのが6時で、その後、酒を飲みながらご飯を食べて家に帰ったのが7時30分。
 そして、寝たのが8時過ぎ。
 つまり4時間ほどしか寝ていないことになる。
 道理で体が重いはずだ。
 どっこいしょ(・・・・・・)と立ち上がったら、顎が外れそうなくらいの大あくびが出た。
 
 服を着替えて顔を洗って冷蔵庫から牛乳パックを取り出した。
 パックの口から直接ゴクゴク飲むと、体の中から冷えてきて少し気分が良くなった。
 
 落ち着いたので、テレビをつけた。
 ボーッと見ていたら1時のニュースになった。
 画面には安倍首相の顔が写っていた。
 それが終わると、女性アナウンサーと女性の気象予報士が国内最高気温のニュースを伝え出した。
 41.1度だという。
 はっ? 
 41.1度? 
 何それ? 
 体温より高いって、おかしくない? 
 それも浜松で。
 はっ? 
 なんで? 
 フェーン現象で急激に温度が上がっただって? 
 止めてくれよ熊谷じゃあるまいし。
 あの熊谷に並ぶなんて信じられない……とブツブツ言いながらエアコンを見上げると、冷風も出さずに黙ってわたしを見つめていた。
 
 勘弁してくれよ! 
 
 毒づきながら、タイマーの切れたエアコンと羽を休めている扇風機を急いでONにした。
 
 
< 2 / 40 >

この作品をシェア

pagetop