『夢列車の旅人』 ~想いを乗せて列車は走る。過去へ、未来へ~
『次の停車駅:2120年駅』
それは、わたしが過去行きの列車に乗り込んだ駅だった。
その表示から美輝に目を移すと、腕の中で大きなあくびをした。
そして、トロンとしたような目になって、つぶらな瞳が瞼の下に隠れた。
「これからずっと一緒だからね」
美輝の頬にキスをしてわたしも目を瞑った。
その瞬間、わたしの魂から分離した守護魂が体から抜け出した。
すると、クレオニが美輝とわたしを優しく見守っている姿が見えた。
「2120年駅までゆっくりお休みください」と語りかけて赤ちゃんにアームを差し伸べると、羽毛のような産着が現れて、小さな体を包み込んだ。
わたしの体は毛布に覆われた。
「奇跡の瞬間に立ち会わせていただいてありがとうございます、今仁様」
わたしの寝顔に囁きかけると、クレオニの頭部ディスプレーが光った。
と同時に『写真撮影終了』という表示が現れた。
赤ちゃんを抱いて眠るわたしの姿を写真に撮ったようだ。
すると、すぐにピッと音がして、『ギネス社へ伝送。送信速度100G』という表示に変わった。
更に10秒後、またピッと音がして、『ギネス社から受信完了』という文字が現れた。
その下には、かつて誰も成し遂げ得なかった前代未聞の記録が表示されていた。
『将来の妻になる生後初日の赤ちゃんを抱いた人類初の成人男性であることを認定する』
完
それは、わたしが過去行きの列車に乗り込んだ駅だった。
その表示から美輝に目を移すと、腕の中で大きなあくびをした。
そして、トロンとしたような目になって、つぶらな瞳が瞼の下に隠れた。
「これからずっと一緒だからね」
美輝の頬にキスをしてわたしも目を瞑った。
その瞬間、わたしの魂から分離した守護魂が体から抜け出した。
すると、クレオニが美輝とわたしを優しく見守っている姿が見えた。
「2120年駅までゆっくりお休みください」と語りかけて赤ちゃんにアームを差し伸べると、羽毛のような産着が現れて、小さな体を包み込んだ。
わたしの体は毛布に覆われた。
「奇跡の瞬間に立ち会わせていただいてありがとうございます、今仁様」
わたしの寝顔に囁きかけると、クレオニの頭部ディスプレーが光った。
と同時に『写真撮影終了』という表示が現れた。
赤ちゃんを抱いて眠るわたしの姿を写真に撮ったようだ。
すると、すぐにピッと音がして、『ギネス社へ伝送。送信速度100G』という表示に変わった。
更に10秒後、またピッと音がして、『ギネス社から受信完了』という文字が現れた。
その下には、かつて誰も成し遂げ得なかった前代未聞の記録が表示されていた。
『将来の妻になる生後初日の赤ちゃんを抱いた人類初の成人男性であることを認定する』
完