『夢列車の旅人』 ~想いを乗せて列車は走る。過去へ、未来へ~
現場監督と飯を食うのは初めてだった。
連れていかれたのは、朝5時から開いている大衆食堂だった。
『大安』という店名で、〈たいあん〉ではなく、〈おおやす〉と読むらしい。
〈大盛りで安くてうまい〉のがモットーの店だという。
暖簾をくぐって監督が向かったのはカウンター席だった。
その一番奥の席に二人並んで座った。
「これ」
監督が大きな封筒を差し出した。
レターパックプラスだった。
松山さんの部屋にあったのだという。
何が入っているのかわからないが、結構な厚みがあった。
表の宛先のところにわたしの名前が書いてあったが、住所は書いていなかった。
郵送しようとして、住所を知らない事に気づいたのだろうか。
松山さんのがっかりしたような顔が目に浮かんだが、それを消して裏返すと、封をした上に白いビニールテープが貼ってあった。
本人以外は誰にも開けさせない、という強い意志が込められているように感じた。
「ありがとうございます」
監督に頭を下げたが、もちろん開封はしなかった。
二人だけの秘密が入っている可能性があるのだ。
開けて見られるようなことをするわけにはいかない。
監督は中が気になるのか封筒から目を離さなかったが、生ビールと大盛りの枝豆が運ばれてくると、表情が変わった。
そして、待ちきれないというふうにジョッキを掲げて、わたしのグラスにコツンと合わせた。
連れていかれたのは、朝5時から開いている大衆食堂だった。
『大安』という店名で、〈たいあん〉ではなく、〈おおやす〉と読むらしい。
〈大盛りで安くてうまい〉のがモットーの店だという。
暖簾をくぐって監督が向かったのはカウンター席だった。
その一番奥の席に二人並んで座った。
「これ」
監督が大きな封筒を差し出した。
レターパックプラスだった。
松山さんの部屋にあったのだという。
何が入っているのかわからないが、結構な厚みがあった。
表の宛先のところにわたしの名前が書いてあったが、住所は書いていなかった。
郵送しようとして、住所を知らない事に気づいたのだろうか。
松山さんのがっかりしたような顔が目に浮かんだが、それを消して裏返すと、封をした上に白いビニールテープが貼ってあった。
本人以外は誰にも開けさせない、という強い意志が込められているように感じた。
「ありがとうございます」
監督に頭を下げたが、もちろん開封はしなかった。
二人だけの秘密が入っている可能性があるのだ。
開けて見られるようなことをするわけにはいかない。
監督は中が気になるのか封筒から目を離さなかったが、生ビールと大盛りの枝豆が運ばれてくると、表情が変わった。
そして、待ちきれないというふうにジョッキを掲げて、わたしのグラスにコツンと合わせた。