千代子と司 ~スパダリヤクザは幼馴染みの甘い優しさに恋い焦がれる~
それ以上は司も言葉が出てこないのか、ベッドに上がって千代子の体を抱き寄せて大切そうに抱き込む。
「もし怖くなったら、必ず途中でもやめるから気にせず言ってね」
これは大切な約束ごとだった。大人同士、密に夜を過ごすにしても司は自身の欲の強さや見た目について千代子が途中で少しでも怖がったり嫌がったりしたら体を引く、と。
そんな司の言葉に腕の中にすっぽりはまっていた千代子は「わかりました」と頷く。
今度こそ、正式に千代子から許しを得た司は恥ずかしそうに身を竦めながらも受け入れてくれた素肌の千代子を手のひらいっぱいに撫で、堪能する。
どこに触れてもふんわりとやわらかで、温かで……思わず司の方が吐息をこぼしてしまえば千代子にふふ、と笑われてしまった。
彼女も大人の女性。艶やかに弧を描く唇はとても魅力的で、この先、千代子の体の心配もあるが自分の持ち合わせている理性が枯渇しないか心配になる。
本当にどこに触れても温かかくて、すべすべで。
「ちよちゃん、もし嫌だったら……」
大丈夫、の代わりに今度は司の方が千代子に抱き締められてしまった。
それはとても幸せな温もり。一回り小さな手を取って指を絡ませた司は体を落とし込み、けれど体格差で押し潰してしまわないように細心の注意を払う。そんなことをしていれば千代子に差し出せる理性などあっと言う間になくなってしまって。
「つかさ、さん」
彼女の喉から絞り出された悩ましげな声は司の心の中の底に僅かに残っていた理性すら毟り取るようだった。
「ちよちゃん、千代子……っ」
再会してからずっと気軽に呼んでくれていた愛称だったが名を呼び捨てられ、千代子は切なそうに眉根を寄せて司のうっすらと汗をかいている腕を掴む。
このまま二人、溶け合ってしまえたなら。
そう思える夜の時間を過ごした二人。司は千代子が楽になるように背中に腕を差し入れると少し抱き上げ、頭の下に枕を差し入れる。