冷酷非道な精霊公爵様は偽物の悪役令嬢を離さない
◇
アベリアとフェイズは街へ行くために馬車の中で向かい合って座っていた。
(ずっと無言なのも辛いわね……かといって何を話せばいいかわからないし)
馬車に乗ってからフェイズはアベリアの顔を見ようともしない。ずっと窓の外を眺めている。顔も見たくないほどに嫌われているのかとアベリアは胸が痛んだが、痛めていたところで現状は何も変化しないのだ。
意を決してアベリアは口を開いた。
「シャルロッテ様は可愛らしい方ですね。あんなに素直で可愛らしいと、フェイズ様がシャルロッテ様をいつも気にかけて大切にしたくなる気持ちもわかる気がします」
「そうだろう!可愛いだろう!あの子は本当に良い子で……」
フェイズはアベリアの言葉に思わず身を乗り出し、勢いよく話し始めてからハッとする。アベリアの美しい金色の瞳に見つめられて時が止まったかのようだ。そして、すぐに目をそらしてまた窓の外を見る。
(また、目を逸らされてしまった)
大好きなシャルロッテの話をすればもしかしたら会話をしてくれるかもしれない。それは当たりかと思われたが、目が合った瞬間に逸らされてしまう。
「そんなに、私のことがお嫌いですか?」
アベリアとフェイズは街へ行くために馬車の中で向かい合って座っていた。
(ずっと無言なのも辛いわね……かといって何を話せばいいかわからないし)
馬車に乗ってからフェイズはアベリアの顔を見ようともしない。ずっと窓の外を眺めている。顔も見たくないほどに嫌われているのかとアベリアは胸が痛んだが、痛めていたところで現状は何も変化しないのだ。
意を決してアベリアは口を開いた。
「シャルロッテ様は可愛らしい方ですね。あんなに素直で可愛らしいと、フェイズ様がシャルロッテ様をいつも気にかけて大切にしたくなる気持ちもわかる気がします」
「そうだろう!可愛いだろう!あの子は本当に良い子で……」
フェイズはアベリアの言葉に思わず身を乗り出し、勢いよく話し始めてからハッとする。アベリアの美しい金色の瞳に見つめられて時が止まったかのようだ。そして、すぐに目をそらしてまた窓の外を見る。
(また、目を逸らされてしまった)
大好きなシャルロッテの話をすればもしかしたら会話をしてくれるかもしれない。それは当たりかと思われたが、目が合った瞬間に逸らされてしまう。
「そんなに、私のことがお嫌いですか?」