冷酷非道な精霊公爵様は偽物の悪役令嬢を離さない
9 思い出のお菓子
街について、シャルロッテの好きなお菓子を買うために菓子屋に入った。マフィンやクッキー、色とりどりのマカロンを見てアベリアは思わず目を輝かせる。フェイズは目が合わなければアベリアのことはいくらでも見ることができるので、アベリアの表情を見てつい口元が緩む。
「シャルロッテが好きなお菓子は多めに買おう。君もシャルロッテと一緒に食べればいい」
「良いのですか?嬉しい!どれもこれも美味しそうですね」
そう言いながら、ふとアベリアは店頭に並ぶひとつのお菓子に気づいて近寄っていく。それは棒状になったクッキー生地にアーモンドが散りばめられてメープルシロップでコーティングされたお菓子だった。
「懐かしい……」
そう言って、包装されたそのお菓子を見つめながらアベリアは少しだけ悲しそうに微笑んでいた。
「それは、何か思い入れのあるものなのか?」
「イザベラが生まれる前に、私が好きでよく両親に買ってもらっていたお菓子なんです。お菓子屋さんに行くといつも買ってくれて……」
「そう、なのか」
「……そんなことより、シャルロッテ様に早くお菓子を買って帰らないとですね」
一瞬見せた悲しげな表情を隠し、アベリアはフワッと優しい微笑みを向ける。一瞬目があってドキッとするが、フェイズは何かが気になってアベリアから視線を逸らせなかった。
「フェイズ様?」
「あ、ああ。そうだな、早く買って帰ろう」
シャルロッテの好きなお菓子をいそいそと買い物カゴに乗せ始めたアベリアを見ながら、フェイズは顎に手を当てて考え込んでいた。
「シャルロッテが好きなお菓子は多めに買おう。君もシャルロッテと一緒に食べればいい」
「良いのですか?嬉しい!どれもこれも美味しそうですね」
そう言いながら、ふとアベリアは店頭に並ぶひとつのお菓子に気づいて近寄っていく。それは棒状になったクッキー生地にアーモンドが散りばめられてメープルシロップでコーティングされたお菓子だった。
「懐かしい……」
そう言って、包装されたそのお菓子を見つめながらアベリアは少しだけ悲しそうに微笑んでいた。
「それは、何か思い入れのあるものなのか?」
「イザベラが生まれる前に、私が好きでよく両親に買ってもらっていたお菓子なんです。お菓子屋さんに行くといつも買ってくれて……」
「そう、なのか」
「……そんなことより、シャルロッテ様に早くお菓子を買って帰らないとですね」
一瞬見せた悲しげな表情を隠し、アベリアはフワッと優しい微笑みを向ける。一瞬目があってドキッとするが、フェイズは何かが気になってアベリアから視線を逸らせなかった。
「フェイズ様?」
「あ、ああ。そうだな、早く買って帰ろう」
シャルロッテの好きなお菓子をいそいそと買い物カゴに乗せ始めたアベリアを見ながら、フェイズは顎に手を当てて考え込んでいた。