冷酷非道な精霊公爵様は偽物の悪役令嬢を離さない
14 告白
精霊の試験があった日の夜。アベリアはなんとなく寝付けずに、一人で屋敷の見張台に立っていた。空を見上げると晴れ渡った夜空に美しい星々がキラキラと輝いている。
「綺麗……」
ほうっと息を吐きそう呟きながら、アベリアはいつの間にか微笑んでいた。実家にいた時には感じることのない安心感と幸福感。ここに来るまではこんな気持ちになれるなんて思いもしなかった。
それに、懐いてくれている可愛いシャルロッテ、そして婚約者であるフェイズ。フェイズは最初、悪役令嬢の噂を信じきって自分を遠ざけようとしていたが、シャルロッテのおかげで距離が縮まった。今となっては、フェイズと自然と話をすることもできるし、何よりも目を合わせて話をしてくれる。
舞踏会での一件後、アベリアの悪役令嬢という噂はだんだんと聞こえなくなっていった。逆に、妹のイザベラについて自分の可愛い姿を利用して気に食わない義姉を陥れようとした酷い妹、という噂が流れるようになり、実家もイザベラも社交界では相手にされなくなったらしい。
(少しイザベラが可哀想な気もするけれど、噂は事実なんだもの。なるべくしてなったようなものね。でも、これも全てフェイズ様のおかげだわ。フェイズ様があの時私を助けてくれたから……)
フェイズのことを考えると胸がドキドキしてほわほわと温かい気持ちになってきて、その気持ちが一体何なのか、アベリアは気がついていた。
(フェイズ様のことを好きになってしまっても、白い結婚であることには変わりないのに)
距離が縮まったと言っても、最初の時点でフェイズが言っていた白い結婚で構わないという言葉、それが撤回されたわけではない。きっと結婚した後も白い結婚のままで続いていくのだろう。
(寂しい気もするけれど、でもこれ以上の幸せを望むなんて贅沢だわ。今でも十分幸せなんだから)
そう自分に言い聞かせながら、そろそろ部屋に戻ろうかと後ろを振り返ると、ちょうど見張台に登ってきた人と目が合った。
「フェイズ様……」
「こんなところで何をしているんだ?」
「……なんだか寝付けなくて」
「そう、か」
フェイズは寝巻き姿のアベリアのを見て、一瞬口を閉ざす。そして自分が羽織っていた厚手の部屋用の上着をそっとアベリアにかけた。薄い素材の寝巻きから見える白く美しいアベリアの肌は、フェイズにとってはあまりにも刺激的すぎて目のやり場に困るのだ。それに、夜風にあたるにはあまりにも薄着すぎて心配だった。
「そんな姿では風邪をひいてしまうだろう」
「すみません、ありがとうございます」
「綺麗……」
ほうっと息を吐きそう呟きながら、アベリアはいつの間にか微笑んでいた。実家にいた時には感じることのない安心感と幸福感。ここに来るまではこんな気持ちになれるなんて思いもしなかった。
それに、懐いてくれている可愛いシャルロッテ、そして婚約者であるフェイズ。フェイズは最初、悪役令嬢の噂を信じきって自分を遠ざけようとしていたが、シャルロッテのおかげで距離が縮まった。今となっては、フェイズと自然と話をすることもできるし、何よりも目を合わせて話をしてくれる。
舞踏会での一件後、アベリアの悪役令嬢という噂はだんだんと聞こえなくなっていった。逆に、妹のイザベラについて自分の可愛い姿を利用して気に食わない義姉を陥れようとした酷い妹、という噂が流れるようになり、実家もイザベラも社交界では相手にされなくなったらしい。
(少しイザベラが可哀想な気もするけれど、噂は事実なんだもの。なるべくしてなったようなものね。でも、これも全てフェイズ様のおかげだわ。フェイズ様があの時私を助けてくれたから……)
フェイズのことを考えると胸がドキドキしてほわほわと温かい気持ちになってきて、その気持ちが一体何なのか、アベリアは気がついていた。
(フェイズ様のことを好きになってしまっても、白い結婚であることには変わりないのに)
距離が縮まったと言っても、最初の時点でフェイズが言っていた白い結婚で構わないという言葉、それが撤回されたわけではない。きっと結婚した後も白い結婚のままで続いていくのだろう。
(寂しい気もするけれど、でもこれ以上の幸せを望むなんて贅沢だわ。今でも十分幸せなんだから)
そう自分に言い聞かせながら、そろそろ部屋に戻ろうかと後ろを振り返ると、ちょうど見張台に登ってきた人と目が合った。
「フェイズ様……」
「こんなところで何をしているんだ?」
「……なんだか寝付けなくて」
「そう、か」
フェイズは寝巻き姿のアベリアのを見て、一瞬口を閉ざす。そして自分が羽織っていた厚手の部屋用の上着をそっとアベリアにかけた。薄い素材の寝巻きから見える白く美しいアベリアの肌は、フェイズにとってはあまりにも刺激的すぎて目のやり場に困るのだ。それに、夜風にあたるにはあまりにも薄着すぎて心配だった。
「そんな姿では風邪をひいてしまうだろう」
「すみません、ありがとうございます」