総長代理は霊感少女!? ~最強男子の幽霊にとり憑かれました~
第8話 私が総長代理!?
突然教室にやってきた、染谷先輩。
しかも拓弥くんはともかく、私まで名指しで「一緒に来てくれないか」って言ったもんだから、私はもちろんクラスの人たちもみんなビックリしてた。
「どうして皆元さんが?」「しめられるんじゃないの?」などの声と視線を背中に受けながら教室を出て向かったのは、昨日も行ったアジト教室。
そこには春風先輩もいて、生霊の桐ヶ谷先輩も含め、昨日のメンバーが勢揃い。
いったいなにがあるんだろうと思っていると、染谷先輩が。
「単刀直入に言う。昨日、七星のメンバーが襲われた。やったのは、紫龍の奴らだ」
「アイツら、性懲りもなく!」
「くそ、俺が体に戻れたら、好き勝手させねーのに」
拓弥くんは怒って、桐ヶ谷先輩も悔しそう。
なんて声をかければいいか分からずにいると、今度は春風先輩が。
「厄介なのはそれだけじゃないよ。昨日も話したけど、メンバー内で紫龍を潰そうって声が上がってる。けど、今の七星はまとまっていない。もしもこのままぶつかったら、被害は甚大になる」
「ええっ!? それじゃあ、止めないと!」
「そ。けどあいにく、俺達の言葉じゃ、アイツらを抑えきれそうにない。響夜ならできたんだろうけどさ。アイツの総率力を、ここにきて思い知らされたよ」
苦笑いを浮かべる春風先輩。
続いて、染谷先輩が。
「とにかくそういうわけで、今僕達がやるべきは、チームをまとめること。けどこのままじゃそれも難しい。だから考えたんだ、響夜が戻ってくるまで代わりにチームを引っ張っていく総長代理を立ててたらどうかってね」
「総長代理? けど、誰がやるんすか? 晴義先輩か、直也先輩ですか?」
「いや。残念だけど、僕達では力不足。だから、皆元さんを呼んだんだ」
「え? わ、私ですか!?」
けど私に、いったいなにができると?
すると染谷先輩と春風先輩が、信じられないことを言った…
「皆元さん頼む! 総長代理になって、七星をまとめてくれないか!」
「こんなことを女の子にお願いするのはどうかと思うけど、君にしかか頼めないんだ!」
「えっ……ええーっ!?」
待って待って待って! どうしてそうなるんですか!?
「わ、私が総長代理って。それって昨日やったみたいに桐ヶ谷先輩の声を聞いて、七星の人達に伝えてほしいってことでしょうか?」
「そうだ。皆元さんは、響夜と話せるんだろう。響夜の言葉なら、みんなをまとめられる」
「で、でも幽霊が視えるって、信じてもらえるかどうか」
「晴義さん、俺も反対です。俺達だって最初は、響夜さんの幽霊なんて言われても信じなかったじゃないですか。美子が総長代理になっても、かえって混乱するんじゃないですか?」
そうそう、拓弥くんの言う通り!
大勢の前で桐ヶ谷先輩の幽霊が視えるなんて言って、信じてもらえなかったら。
疑われて、白い目で見られたらって思うと、考えただけでお腹が痛くなってくる。
すると……。
「……悪い皆元、少し体借りる」
え、桐ヶ谷先輩?
先輩は私の中に入ってきて、体の自由を奪われる。
憑依したんだ!
「晴義、直也! お前らなにを言ってるかわかってるのか? 俺が言うのも何だけど、これ以上皆元を巻き込むな。七星の問題は、俺達だけでなんとかするぞ」
「響夜か? また皆元さんに憑依したのか?」
「ああ……べつに俺や皆元に頼る必要はないだろ。お前らなら俺がいなくても、チームをまとめられ……」
「そう簡単にはいかないさ。蓮さんがチームを抜けたときだって、大変だっただろう」
「それは……」
口を閉じる桐ヶ谷先輩。
体を通じてモヤモヤした気持ちが伝わってきて、変な感じがする。
(あの、蓮さんというのは?)
「俺の前の総長で、七星を作った人だ」
そういえば桐ヶ谷先輩は2代目総長だって、前に言ってたっけ。
その蓮さんが抜けたときになにがあったかは分からないけど、チームのトップが変わるんだもの。
簡単な話じゃないみたい。
「響夜の言う通り、皆元さんに代理を頼むのが正解かはわからない。けど俺達の中の誰も、響夜の代わりなんて勤まらない。だからこれは賭けなんだ。七星が崩壊するかどうかの」
「響夜は、七星が潰れてもいいのか?」
「──っ! いいわけないだろ!」
言い合う先輩達。
みんな七星のことが大事で真剣に考えているのがわかる。
ど、どうしよう? 正直自信は全くないけど、それでももしも私が、力になれるのなら……。
(あの、桐ヶ谷先輩。先輩さえよければ私……総長代理やります!)
「本気か皆元!?」
(だ、だってそうしないと、七星が大変なんですよね)
だったら、放っておくなんてできないよ。
すると、私の声が聞こえない春風先輩が聞いてくる。
「響夜、美子ちゃんと話してるの?」
「……総長代理を、やってもいいって」
「美子、マジかよ!? お前は昔から、そういうとこあるよな!」
「皆元さん、ありがとう。あとは響夜次第だけど、どうする?」
「俺は……」
桐ヶ谷先輩は黙っていたけど、やがて決心したように言う。
「皆元、すまない。七星のために、力を貸してくれ」
(は、はい! どれだけできるかわかりませんけど、頑張ります!)
これでようやく、全員の意見が一致した。
あ、でも一つ気になることが。
(あの、桐ヶ谷先輩。みなさんと相談したいことがあるので、体を返してもらえませんか?)
「ああ。お前ら、皆元が話があるってよ」
桐ヶ谷先輩が私から離れて、これでしゃべりやすくなった。
「みなさん。私も、できる限りのことはしたいですけど……幽霊が見えるというのは、ナイショにしたままではできないでしょうか?」
「は? なんでだよ」
「もしも信じてもらえなかったら、それこそチームがまとまらない気がして。今まで信じてもらえないことが、ほとんどだったので」
「それは……」
気まずそうに黙る拓弥くん。
春風先輩や染谷先輩も、難しそうな顔をしてる。
「でも桐ヶ谷先輩の幽霊が視えるのは秘密でも、何らかの形で先輩の意思を伝えられたら、七星の人達の心を動かせると思うんです。私を通すことになっても、話すのは桐ヶ谷先輩の言葉なんですから」
「なるほど。たしかに僕もはじめは、幽霊なんて言われても信じられなかったからなあ。皆元さんの言う通りかも」
「けど秘密にするなら、どうやって響夜さんの言葉だって分からせるんですか?」
「そこは何か、設定でも考えないといけないな。例えば自分に何かあった時は皆元さんを頼るようにって、響夜が僕達に伝えていたことにするとか」
「でも響夜さんと美子って、元々は接点ありませんよ?」
話し合う拓弥くんと染谷先輩。
難しいこと言っちゃったって思うけど、幽霊が見えるって言っても信じてもらえるか分からないというのは、私が1番よく知ってる。
桐ヶ谷先輩も腕を組ながら、「皆元にチームを託すだけの理由か……」って考えてるけど、答えは出てないみたい。
けどここで、春風先輩が手を上げた。
「だったらさ、俺に妙案があるよー。美子ちゃんがね、響夜の彼女ってことにしちゃえばいいんだよ!」
「え?」
「は?」
「はぁっ!?」
私と桐ヶ谷先輩、それに拓弥くんの声が重なる。
かのじょ……カノジョ……彼女ーっ!?
「ま、ままま、待ってください。どこをどうやったらそうなるんですかー!?」
「……直也、また突拍子もないことを。皆元、どうせ冗談なんだから、真面目に取り合わなくていいぞ」
呆れたように、ため息をつく桐ヶ谷先輩。
だけど……。
「なあ、いいアイディアだろう」
自信満々に胸を張る春風先輩を見ると、冗談で言ってるのか本気なのか、わからなかった。
しかも拓弥くんはともかく、私まで名指しで「一緒に来てくれないか」って言ったもんだから、私はもちろんクラスの人たちもみんなビックリしてた。
「どうして皆元さんが?」「しめられるんじゃないの?」などの声と視線を背中に受けながら教室を出て向かったのは、昨日も行ったアジト教室。
そこには春風先輩もいて、生霊の桐ヶ谷先輩も含め、昨日のメンバーが勢揃い。
いったいなにがあるんだろうと思っていると、染谷先輩が。
「単刀直入に言う。昨日、七星のメンバーが襲われた。やったのは、紫龍の奴らだ」
「アイツら、性懲りもなく!」
「くそ、俺が体に戻れたら、好き勝手させねーのに」
拓弥くんは怒って、桐ヶ谷先輩も悔しそう。
なんて声をかければいいか分からずにいると、今度は春風先輩が。
「厄介なのはそれだけじゃないよ。昨日も話したけど、メンバー内で紫龍を潰そうって声が上がってる。けど、今の七星はまとまっていない。もしもこのままぶつかったら、被害は甚大になる」
「ええっ!? それじゃあ、止めないと!」
「そ。けどあいにく、俺達の言葉じゃ、アイツらを抑えきれそうにない。響夜ならできたんだろうけどさ。アイツの総率力を、ここにきて思い知らされたよ」
苦笑いを浮かべる春風先輩。
続いて、染谷先輩が。
「とにかくそういうわけで、今僕達がやるべきは、チームをまとめること。けどこのままじゃそれも難しい。だから考えたんだ、響夜が戻ってくるまで代わりにチームを引っ張っていく総長代理を立ててたらどうかってね」
「総長代理? けど、誰がやるんすか? 晴義先輩か、直也先輩ですか?」
「いや。残念だけど、僕達では力不足。だから、皆元さんを呼んだんだ」
「え? わ、私ですか!?」
けど私に、いったいなにができると?
すると染谷先輩と春風先輩が、信じられないことを言った…
「皆元さん頼む! 総長代理になって、七星をまとめてくれないか!」
「こんなことを女の子にお願いするのはどうかと思うけど、君にしかか頼めないんだ!」
「えっ……ええーっ!?」
待って待って待って! どうしてそうなるんですか!?
「わ、私が総長代理って。それって昨日やったみたいに桐ヶ谷先輩の声を聞いて、七星の人達に伝えてほしいってことでしょうか?」
「そうだ。皆元さんは、響夜と話せるんだろう。響夜の言葉なら、みんなをまとめられる」
「で、でも幽霊が視えるって、信じてもらえるかどうか」
「晴義さん、俺も反対です。俺達だって最初は、響夜さんの幽霊なんて言われても信じなかったじゃないですか。美子が総長代理になっても、かえって混乱するんじゃないですか?」
そうそう、拓弥くんの言う通り!
大勢の前で桐ヶ谷先輩の幽霊が視えるなんて言って、信じてもらえなかったら。
疑われて、白い目で見られたらって思うと、考えただけでお腹が痛くなってくる。
すると……。
「……悪い皆元、少し体借りる」
え、桐ヶ谷先輩?
先輩は私の中に入ってきて、体の自由を奪われる。
憑依したんだ!
「晴義、直也! お前らなにを言ってるかわかってるのか? 俺が言うのも何だけど、これ以上皆元を巻き込むな。七星の問題は、俺達だけでなんとかするぞ」
「響夜か? また皆元さんに憑依したのか?」
「ああ……べつに俺や皆元に頼る必要はないだろ。お前らなら俺がいなくても、チームをまとめられ……」
「そう簡単にはいかないさ。蓮さんがチームを抜けたときだって、大変だっただろう」
「それは……」
口を閉じる桐ヶ谷先輩。
体を通じてモヤモヤした気持ちが伝わってきて、変な感じがする。
(あの、蓮さんというのは?)
「俺の前の総長で、七星を作った人だ」
そういえば桐ヶ谷先輩は2代目総長だって、前に言ってたっけ。
その蓮さんが抜けたときになにがあったかは分からないけど、チームのトップが変わるんだもの。
簡単な話じゃないみたい。
「響夜の言う通り、皆元さんに代理を頼むのが正解かはわからない。けど俺達の中の誰も、響夜の代わりなんて勤まらない。だからこれは賭けなんだ。七星が崩壊するかどうかの」
「響夜は、七星が潰れてもいいのか?」
「──っ! いいわけないだろ!」
言い合う先輩達。
みんな七星のことが大事で真剣に考えているのがわかる。
ど、どうしよう? 正直自信は全くないけど、それでももしも私が、力になれるのなら……。
(あの、桐ヶ谷先輩。先輩さえよければ私……総長代理やります!)
「本気か皆元!?」
(だ、だってそうしないと、七星が大変なんですよね)
だったら、放っておくなんてできないよ。
すると、私の声が聞こえない春風先輩が聞いてくる。
「響夜、美子ちゃんと話してるの?」
「……総長代理を、やってもいいって」
「美子、マジかよ!? お前は昔から、そういうとこあるよな!」
「皆元さん、ありがとう。あとは響夜次第だけど、どうする?」
「俺は……」
桐ヶ谷先輩は黙っていたけど、やがて決心したように言う。
「皆元、すまない。七星のために、力を貸してくれ」
(は、はい! どれだけできるかわかりませんけど、頑張ります!)
これでようやく、全員の意見が一致した。
あ、でも一つ気になることが。
(あの、桐ヶ谷先輩。みなさんと相談したいことがあるので、体を返してもらえませんか?)
「ああ。お前ら、皆元が話があるってよ」
桐ヶ谷先輩が私から離れて、これでしゃべりやすくなった。
「みなさん。私も、できる限りのことはしたいですけど……幽霊が見えるというのは、ナイショにしたままではできないでしょうか?」
「は? なんでだよ」
「もしも信じてもらえなかったら、それこそチームがまとまらない気がして。今まで信じてもらえないことが、ほとんどだったので」
「それは……」
気まずそうに黙る拓弥くん。
春風先輩や染谷先輩も、難しそうな顔をしてる。
「でも桐ヶ谷先輩の幽霊が視えるのは秘密でも、何らかの形で先輩の意思を伝えられたら、七星の人達の心を動かせると思うんです。私を通すことになっても、話すのは桐ヶ谷先輩の言葉なんですから」
「なるほど。たしかに僕もはじめは、幽霊なんて言われても信じられなかったからなあ。皆元さんの言う通りかも」
「けど秘密にするなら、どうやって響夜さんの言葉だって分からせるんですか?」
「そこは何か、設定でも考えないといけないな。例えば自分に何かあった時は皆元さんを頼るようにって、響夜が僕達に伝えていたことにするとか」
「でも響夜さんと美子って、元々は接点ありませんよ?」
話し合う拓弥くんと染谷先輩。
難しいこと言っちゃったって思うけど、幽霊が見えるって言っても信じてもらえるか分からないというのは、私が1番よく知ってる。
桐ヶ谷先輩も腕を組ながら、「皆元にチームを託すだけの理由か……」って考えてるけど、答えは出てないみたい。
けどここで、春風先輩が手を上げた。
「だったらさ、俺に妙案があるよー。美子ちゃんがね、響夜の彼女ってことにしちゃえばいいんだよ!」
「え?」
「は?」
「はぁっ!?」
私と桐ヶ谷先輩、それに拓弥くんの声が重なる。
かのじょ……カノジョ……彼女ーっ!?
「ま、ままま、待ってください。どこをどうやったらそうなるんですかー!?」
「……直也、また突拍子もないことを。皆元、どうせ冗談なんだから、真面目に取り合わなくていいぞ」
呆れたように、ため息をつく桐ヶ谷先輩。
だけど……。
「なあ、いいアイディアだろう」
自信満々に胸を張る春風先輩を見ると、冗談で言ってるのか本気なのか、わからなかった。