総長代理は霊感少女!? ~最強男子の幽霊にとり憑かれました~
第9話 彼女なんて無理です!
「美子ちゃんここだよ~。俺のイチオシの美容室。話は通しておいたから、安心してね~」
「は、はい。ありがとうございます、春風先輩……じゃなくて、直也先輩」
放課後になってやってきたのは、直也先輩のお勧めする美容室。
ちなみに先輩を下の名前で呼んでいるのには訳があって、七星のメンバーは基本、名字でなく名前で呼びあうのだという。
総長代理をやるなら、私もそれに合わせるべき。
というわけで春風先輩だけでなく、染谷先輩のことも晴義先輩って呼ぶことにしたけど、まだ慣れていない。
拓弥くんだけは、今まで通りだからいいんだけどね。
そしてどうして美容室に来てるかというと、話は昼休みに遡る……。
直也先輩が私を、桐ヶ谷先輩の彼女ってことにしようって言い出して、てっきり冗談かと思ったんだけど……。
「べつにふざけて言ってるわけじゃないって。響夜が何かあったときに、俺たち以外でチームを託す相手がいるとしたら誰か。俺なりに考えたんだって」
「それで俺が、彼女になら託すって考えたってわけか? 皆元、寝言は寝て言えって、直也に言ってやってくれ」
桐ヶ谷先輩はそう言ったけど、言えませんよ。
「き、桐ヶ谷先輩は、反対してるんですけど。仮に彼女さんがいたとしても、チームは託さないみたいです」
「だよなだよな。俺も響夜さんなら、そうはしないと思う。やっぱり別の手考えよう」
「拓弥、お前のそれは私情が入ってないか? まあ響夜本人が言うなら間違いないんだろうけど、大事なのは説得力なんだよ。響夜の彼女がチームを任されたって言って、俺達もそれを認めたら。その彼女が響夜なら言いそうなことをズバズバ言ったら、みんな信じる気にならない?」
それは……そうなっても、おかしくないかも。
少なくとも桐ヶ谷先輩の幽霊がここにいて、声を伝えますって言うよりは、説得力がある気がする。
「たしかに。いかにも直人っぽい発想だけど、悪くはないかも。けど、響夜は納得してないんだよな?」
「響夜は案外お堅いからねえ。でも、だったら他にもっといい案浮かぶ? なんかあるなら、べつにそっちでもかまわないけど」
直也先輩はみんなを順番に見たけど、誰も何も言わない。
さっきは反対してた桐ヶ谷先輩も、代案がないのか、うつむいたまま黙っちゃってる。
かくいう私も、他の案なんて浮かばない。
あ、でも……。
「あの、ちょっといいですか。私が桐ヶ谷先輩の……か、彼女って設定、無理があると思うんですけど」
「え、どうして?」
「私と桐ヶ谷先輩とでは、釣り合いませんから。私、かわいくもなければ地味ですし。彼女だなんて言っても、それそこ説得力がないと思うのですが」
言ってて悲しくなるけど、これは事実。
地味で友達もいない私と、格好よくてファンも多い桐ヶ谷先輩が付き合ってるなんて言っても、笑われる気がする。
それに……。
「ウソとはいえ私が彼女ってことになったら、桐ヶ谷先輩だって嫌なんじゃ」
桐ヶ谷先輩の様子を、チラチラ窺いながら言う。
だけど。
「べつにそこは構わない。つーかそんな風に、自分を卑下するのはやめろよな」
「ご、ごめんなさい」
てっきり嫌な顔をされると思ったのに。
きっとよっぽどチームのことが大事なんだろうなあ。
けど桐ヶ谷先輩はよくても、普通に考えたらやっぱり不釣り合い。
彼女のふりをするなんて、無理があるけど……。
「だったらさ。美子ちゃんさえよかったら、ちょっとイメチェンしてみない?」
「イメチェンですか?」
「そうそう。美容室に行ったりメイクしたりして、可愛くなるんだよ。というか前から思ってたけど、その前髪長すぎない? 何かこだわりでもあるの?」
「これは……視界を悪くした方が、幽霊が視えにくくなるかなーって思って、伸ばしてたんです。結局、効果ありませんでしたけど」
「じゃあ、切っちゃっても大丈夫?」
それはまあ。
切るタイミングがなくて、そのままにしてただけだから。
桐ヶ谷先輩は、「嫌ならハッキリ言っていいんだぞ」って言ってるけど、髪型を変えるのには抵抗はありません。
けどそれくらいで、印象が変わるとは思えない。
でも、直也先輩は。
「心配しなくても大丈夫。腕のいい美容室知ってるから、ドーンと任せて。晴義も拓弥も、それでいい?」
「僕はべつに。美子さんや響夜が反対しないなら、それで」
「俺は反対! 反対ったら反対!」
拓弥くんは私が彼女って設定はやっぱり無理があるって思ったのか、最後まで反対してたけど。
結局直也先輩に押しきられて、美容室に来たというわけ。
髪を切る間、直也先輩は美容室の向かいにあるカフェで待ってる。
残された私は美容師さんにお任せして、散髪開始。
今まで髪を切るのは床屋さんだったから緊張したけど、美容師さんはチョキチョキ切っていってくれて。
長かった前髪はなくなり、すっかり視界が広くなった。
そうして髪を切り終えて、お店を出たけど……。
「あの、桐ヶ谷先輩。どうでしょうか?」
お店を出たところで、後ろについてきてる桐ヶ谷先輩に聞いてみる。
ちょっと切ったところで大して変わらないってわかってはいるけど、それでもやっぱりドキドキしちゃう。
だけど桐ヶ谷先輩は……あれ、どうして目を反らしているんですか?
「あの、桐ヶ谷先輩? どうかしましたか?」
「いや、ちょっと……ヤバいなと思って」
「──っ! そ、そんなにおかしいですか!?」
「違う、いい意味で言ったんだ! ……髪切っただけで、変わりすぎだろ」
桐ヶ谷先輩の頬が、ほんのり赤い気がする。
と、とりあえず、悪くはないって思っていいのかな?
「つーかお前。さっきから思ってたけど、どうして俺だけまだ名字で呼んでるんだ?」
「え?」
そういえば。
名前呼びにした方がいいってなって、晴義先輩や直也先輩は下の名前で呼び合うようになったけど、桐ヶ谷先輩はそのままだった。
「彼女ってことにするなら、アイツらだけ下の名前で呼びあって、俺だけ名字なのは不自然だろ」
「そ、そうですね。すみません、気がつきませんでした」
「謝らなくてもいいけど、俺のことも名字じゃなくて名前で呼んでくれるか、美子」
「──っ!?」
美子と呼ばれた瞬間、なぜか全身がカッと熱くなる。
晴義先輩や直也先輩に呼ばれたときは照れはしたものの、こんな風にはならなかったのに。
理由がわからずに、混乱していると……。
「どうした? 気分でも悪いのか?」
「な、なんでもありません。それより、直也先輩が待っていますから、行きましょう……き、響夜先輩」
「ああ……ちょっと思ったんだが、先輩より呼び捨ての方が、彼女っぽくないか?」
「そ、それは……難しいので、せめてさん付けでいいですか?」
そんなやり取りがあった後、私達は直也先輩の待ってるカフェへと入っていく。
えーと、直也先輩は……あ、いたいた。
あれ、一緒にいるのは、晴義先輩と拓弥くん?
「だから俺だって、七星のことは考えてるよ。けどなにも、髪まで切らせることなかったんじゃ」
「なに言ってるんだ。むしろ七星関係なしに、あれはちょっと切った方が、絶対よくなるって。女の子は可愛くさせてなんぼでしょ。なあ晴義」
「僕にふられても困る。まあ、たしかにあれはちょっと、モサかったけど」
どうやら拓弥くんたちも合流してたみたい。
私は彼らに近づいて、声をかける。
「あの、お待たせしました」
「お、どうだった美子ちゃん……んんっ!?」
あれ、どうしたんだろう?
直也先輩が私を見て固まっちゃった。
ううん、直也先輩だけじゃなくて、拓弥くんも晴義先輩も、目を丸くしている。
「あ、あの……そんなにおかしかったでしょうか?」
「へ? いやいや全然。ていうか、マジで美子ちゃんなの? 美容室を勧めたのは俺だけど、ここまで変わるとは」
「今までは前髪で顔が見にくかったから、気づけなかったってことか……」
マジマジと見つめてくる、晴義先輩と直也先輩。
そして拓弥くんはというと、なぜか頭を抱えていた。
「おい拓弥、お前これ、知ってて黙ってただろ。美容室に行くのを反対してたのは、こういうことか」
「ええ、そうですけどなにか? ああーっ! 美子のことは、俺だけが知ってりゃ良かったのにーっ!」
みんななにやら騒いでいるけど、何のことを言っているのかわからない。
響夜さんならわかるかなって思って、目を向けると。
「……美子がかわいすぎて、驚いてるだけだろ」
「か、かわっ!?」
私は夢でも見ているの?
響夜さんが絶対言わなさそうな言葉が、出てきたんですけど!?
けど、本気にしちゃいけない。きっと気を使って、ほめてくれてるだけ。
けどそうだって分かっていても、胸の奥のバクバクはおさえられない。
だって男子にかわいいって言われたのなんて、はじめてなんだもの。
しかも言った相手が、本来雲の上の人な響夜さんだとなおさら……はっ!
「あの、そういえば本題。一応言われた通り切りはしましたけど、やっぱりこれくらいじゃ、彼女設定は無理ですよね?」
仮にも響夜さんの彼女を名乗るなら、釣り合うくらいの花が必要。
髪を切ったくらいでどうにかなるはずがない。
なのに……。
「なに言ってんの。バッチリだってば!」
「まあ容姿でいえば、問題はなくなったか」
「本当に、響夜さんの彼女ってことになるのな……。仕方ねーけど、やっぱり悔しい!」
よくわからないけど太鼓判を押されて。
みんなが言うなら、とりあえず大丈夫と思っていいのかな?
「は、はい。ありがとうございます、春風先輩……じゃなくて、直也先輩」
放課後になってやってきたのは、直也先輩のお勧めする美容室。
ちなみに先輩を下の名前で呼んでいるのには訳があって、七星のメンバーは基本、名字でなく名前で呼びあうのだという。
総長代理をやるなら、私もそれに合わせるべき。
というわけで春風先輩だけでなく、染谷先輩のことも晴義先輩って呼ぶことにしたけど、まだ慣れていない。
拓弥くんだけは、今まで通りだからいいんだけどね。
そしてどうして美容室に来てるかというと、話は昼休みに遡る……。
直也先輩が私を、桐ヶ谷先輩の彼女ってことにしようって言い出して、てっきり冗談かと思ったんだけど……。
「べつにふざけて言ってるわけじゃないって。響夜が何かあったときに、俺たち以外でチームを託す相手がいるとしたら誰か。俺なりに考えたんだって」
「それで俺が、彼女になら託すって考えたってわけか? 皆元、寝言は寝て言えって、直也に言ってやってくれ」
桐ヶ谷先輩はそう言ったけど、言えませんよ。
「き、桐ヶ谷先輩は、反対してるんですけど。仮に彼女さんがいたとしても、チームは託さないみたいです」
「だよなだよな。俺も響夜さんなら、そうはしないと思う。やっぱり別の手考えよう」
「拓弥、お前のそれは私情が入ってないか? まあ響夜本人が言うなら間違いないんだろうけど、大事なのは説得力なんだよ。響夜の彼女がチームを任されたって言って、俺達もそれを認めたら。その彼女が響夜なら言いそうなことをズバズバ言ったら、みんな信じる気にならない?」
それは……そうなっても、おかしくないかも。
少なくとも桐ヶ谷先輩の幽霊がここにいて、声を伝えますって言うよりは、説得力がある気がする。
「たしかに。いかにも直人っぽい発想だけど、悪くはないかも。けど、響夜は納得してないんだよな?」
「響夜は案外お堅いからねえ。でも、だったら他にもっといい案浮かぶ? なんかあるなら、べつにそっちでもかまわないけど」
直也先輩はみんなを順番に見たけど、誰も何も言わない。
さっきは反対してた桐ヶ谷先輩も、代案がないのか、うつむいたまま黙っちゃってる。
かくいう私も、他の案なんて浮かばない。
あ、でも……。
「あの、ちょっといいですか。私が桐ヶ谷先輩の……か、彼女って設定、無理があると思うんですけど」
「え、どうして?」
「私と桐ヶ谷先輩とでは、釣り合いませんから。私、かわいくもなければ地味ですし。彼女だなんて言っても、それそこ説得力がないと思うのですが」
言ってて悲しくなるけど、これは事実。
地味で友達もいない私と、格好よくてファンも多い桐ヶ谷先輩が付き合ってるなんて言っても、笑われる気がする。
それに……。
「ウソとはいえ私が彼女ってことになったら、桐ヶ谷先輩だって嫌なんじゃ」
桐ヶ谷先輩の様子を、チラチラ窺いながら言う。
だけど。
「べつにそこは構わない。つーかそんな風に、自分を卑下するのはやめろよな」
「ご、ごめんなさい」
てっきり嫌な顔をされると思ったのに。
きっとよっぽどチームのことが大事なんだろうなあ。
けど桐ヶ谷先輩はよくても、普通に考えたらやっぱり不釣り合い。
彼女のふりをするなんて、無理があるけど……。
「だったらさ。美子ちゃんさえよかったら、ちょっとイメチェンしてみない?」
「イメチェンですか?」
「そうそう。美容室に行ったりメイクしたりして、可愛くなるんだよ。というか前から思ってたけど、その前髪長すぎない? 何かこだわりでもあるの?」
「これは……視界を悪くした方が、幽霊が視えにくくなるかなーって思って、伸ばしてたんです。結局、効果ありませんでしたけど」
「じゃあ、切っちゃっても大丈夫?」
それはまあ。
切るタイミングがなくて、そのままにしてただけだから。
桐ヶ谷先輩は、「嫌ならハッキリ言っていいんだぞ」って言ってるけど、髪型を変えるのには抵抗はありません。
けどそれくらいで、印象が変わるとは思えない。
でも、直也先輩は。
「心配しなくても大丈夫。腕のいい美容室知ってるから、ドーンと任せて。晴義も拓弥も、それでいい?」
「僕はべつに。美子さんや響夜が反対しないなら、それで」
「俺は反対! 反対ったら反対!」
拓弥くんは私が彼女って設定はやっぱり無理があるって思ったのか、最後まで反対してたけど。
結局直也先輩に押しきられて、美容室に来たというわけ。
髪を切る間、直也先輩は美容室の向かいにあるカフェで待ってる。
残された私は美容師さんにお任せして、散髪開始。
今まで髪を切るのは床屋さんだったから緊張したけど、美容師さんはチョキチョキ切っていってくれて。
長かった前髪はなくなり、すっかり視界が広くなった。
そうして髪を切り終えて、お店を出たけど……。
「あの、桐ヶ谷先輩。どうでしょうか?」
お店を出たところで、後ろについてきてる桐ヶ谷先輩に聞いてみる。
ちょっと切ったところで大して変わらないってわかってはいるけど、それでもやっぱりドキドキしちゃう。
だけど桐ヶ谷先輩は……あれ、どうして目を反らしているんですか?
「あの、桐ヶ谷先輩? どうかしましたか?」
「いや、ちょっと……ヤバいなと思って」
「──っ! そ、そんなにおかしいですか!?」
「違う、いい意味で言ったんだ! ……髪切っただけで、変わりすぎだろ」
桐ヶ谷先輩の頬が、ほんのり赤い気がする。
と、とりあえず、悪くはないって思っていいのかな?
「つーかお前。さっきから思ってたけど、どうして俺だけまだ名字で呼んでるんだ?」
「え?」
そういえば。
名前呼びにした方がいいってなって、晴義先輩や直也先輩は下の名前で呼び合うようになったけど、桐ヶ谷先輩はそのままだった。
「彼女ってことにするなら、アイツらだけ下の名前で呼びあって、俺だけ名字なのは不自然だろ」
「そ、そうですね。すみません、気がつきませんでした」
「謝らなくてもいいけど、俺のことも名字じゃなくて名前で呼んでくれるか、美子」
「──っ!?」
美子と呼ばれた瞬間、なぜか全身がカッと熱くなる。
晴義先輩や直也先輩に呼ばれたときは照れはしたものの、こんな風にはならなかったのに。
理由がわからずに、混乱していると……。
「どうした? 気分でも悪いのか?」
「な、なんでもありません。それより、直也先輩が待っていますから、行きましょう……き、響夜先輩」
「ああ……ちょっと思ったんだが、先輩より呼び捨ての方が、彼女っぽくないか?」
「そ、それは……難しいので、せめてさん付けでいいですか?」
そんなやり取りがあった後、私達は直也先輩の待ってるカフェへと入っていく。
えーと、直也先輩は……あ、いたいた。
あれ、一緒にいるのは、晴義先輩と拓弥くん?
「だから俺だって、七星のことは考えてるよ。けどなにも、髪まで切らせることなかったんじゃ」
「なに言ってるんだ。むしろ七星関係なしに、あれはちょっと切った方が、絶対よくなるって。女の子は可愛くさせてなんぼでしょ。なあ晴義」
「僕にふられても困る。まあ、たしかにあれはちょっと、モサかったけど」
どうやら拓弥くんたちも合流してたみたい。
私は彼らに近づいて、声をかける。
「あの、お待たせしました」
「お、どうだった美子ちゃん……んんっ!?」
あれ、どうしたんだろう?
直也先輩が私を見て固まっちゃった。
ううん、直也先輩だけじゃなくて、拓弥くんも晴義先輩も、目を丸くしている。
「あ、あの……そんなにおかしかったでしょうか?」
「へ? いやいや全然。ていうか、マジで美子ちゃんなの? 美容室を勧めたのは俺だけど、ここまで変わるとは」
「今までは前髪で顔が見にくかったから、気づけなかったってことか……」
マジマジと見つめてくる、晴義先輩と直也先輩。
そして拓弥くんはというと、なぜか頭を抱えていた。
「おい拓弥、お前これ、知ってて黙ってただろ。美容室に行くのを反対してたのは、こういうことか」
「ええ、そうですけどなにか? ああーっ! 美子のことは、俺だけが知ってりゃ良かったのにーっ!」
みんななにやら騒いでいるけど、何のことを言っているのかわからない。
響夜さんならわかるかなって思って、目を向けると。
「……美子がかわいすぎて、驚いてるだけだろ」
「か、かわっ!?」
私は夢でも見ているの?
響夜さんが絶対言わなさそうな言葉が、出てきたんですけど!?
けど、本気にしちゃいけない。きっと気を使って、ほめてくれてるだけ。
けどそうだって分かっていても、胸の奥のバクバクはおさえられない。
だって男子にかわいいって言われたのなんて、はじめてなんだもの。
しかも言った相手が、本来雲の上の人な響夜さんだとなおさら……はっ!
「あの、そういえば本題。一応言われた通り切りはしましたけど、やっぱりこれくらいじゃ、彼女設定は無理ですよね?」
仮にも響夜さんの彼女を名乗るなら、釣り合うくらいの花が必要。
髪を切ったくらいでどうにかなるはずがない。
なのに……。
「なに言ってんの。バッチリだってば!」
「まあ容姿でいえば、問題はなくなったか」
「本当に、響夜さんの彼女ってことになるのな……。仕方ねーけど、やっぱり悔しい!」
よくわからないけど太鼓判を押されて。
みんなが言うなら、とりあえず大丈夫と思っていいのかな?