私の人生は私のものです
◇◆◇◆◇

(アキーム(元夫視点))

 オルドリン伯爵邸を出た次の日に、僕は貸別荘に着いた。

 僕はその土地ごとで、期間限定のメイドを雇っている。
 今回もこの静養地でメイドを探すことにした。

 給料は良いので、いつもならばすぐに見つかる。
 それなのに、今回は面接に来る人がいなかった。

「本当についてないな」

 ため息を吐くと、いつも一緒に旅をしている御者が話しかけてきた。

「旦那様、サブリナ様との離婚が原因で人が来ないのではないでしょうか」
「……なんだって? サブリナとの離婚というのはどういうことなんだ!?」

 僕はサブリナとの離婚を認めていないのに、どうして離婚したことになってるんだよ!?

 僕は何も聞いてないぞ!?

「旦那様が離婚されたことは、小さなものではありましたが新聞の記事になっておりました」
「そ、そんな……!」

 その時、誰かが訪ねてきたのか、玄関の呼び鈴が鳴った。

 とにかく、面接だ。
 身の回りの世話をしてくれる人がほしい。

 落ち着いてから状況を整理しよう。

 そう思って自ら出迎えると、ポーチに立っていたのは、僕の不幸の原因を作った女性、ベル・ラファイが化粧の落ちた醜い顔をして立っていた。

「ど、どうして君が……」

 僕は幽霊でも見るような恐怖を感じながら、彼女を見つめた。
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