【書籍化】私の人生は私のものです
28 私の人生は私のものです ②
お出迎えを無事に終えて少し落ち着いたところで、アキーム様が入国できてしまったことを、リファルド様に伝えた。
すると、難しい顔で尋ねてくる。
「どうしてそこまで君にこだわるのか、理由はわかるのか」
「こうだと確信しているわけではありませんが、支配できる人が好きなのではないかと思います。あと、母親からそう教わってきたのかもしれません」
「人の意見と自分の意見が違っていたら攻撃してくるような母親のようだからな」
眉根を寄せるリファルド様に頷く。
「自分の言っていることだけが正しくて、それ以外の意見を言う人は認められないというような人です」
「迷っているならまだしも、こうだと決めた人間に口を出す必要性はないと思うがな。考え方なんて人によって色々とあるだろう」
「普通の人はそう思うと思いますが、エレファーナ様は自分の意見が正しいと思い込んでいる人ですから話になりません。感じ方が違うと怒り始めて暴言を吐きます。言われた人が不快になることなんてどうでも良いんです」
「そんな奴と話をして決着がつくのか? 人を誹謗中傷することは罪だが、考えたことを言うのは罪ではない」
「最悪の場合は、ティアトレイを使うしかないかと思っています」
話し合いで解決しないのであれば、物理的に対抗するしか無い。
あの人は今の私よりも力は弱い。
できれば、距離を取ることで解決したかったけど、追いかけてくるのだからしょうがない。
自分に危害を加えられる前に対処するしかないのだ。
「一人にならないようにすることと、私がティアトレイを使ったとしても罪に問われないような状況に持って行くつもりです。彼らのせいで暴行罪で捕まるなんて馬鹿らしいですから」
「そうだな。俺も裏で手を回すようにするが、相手も黙ってはいないだろう」
相手というのはアキーム様たちのことではなく、敵対している公爵家のことを言っているのだとわかった。
「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」
「気にするな。好きでやってると言ってるだろ。それにしても、君は本当に変な人間に好かれるんだな」
「……前にも似たようなことを言われた気がしますね。アキーム様達は別として、普通の人から見たら変な人間であっても、常識を持っていて、人を思いやる気持ちを持っている人であれば、その人が人と変わった考えを持っていて変な人間と言われていても、私は気にならないと思います。だから、そういう変な人に好かれたいです」
「自分の言いたいことを言うだけじゃなく、相手の話も聞ける人だということだな」
リファルド様は納得したように頷いた。
「はい。あの、お疲れのところに嫌な話をして申し訳ございません」
「いや。俺も気になっていたから、教えてくれて助かる」
「……ありがとうございます」
ミリー様に言われて、再確認したことがある。
アキーム様の件が終わったら、リファルド様とはお別れだ。
寂しいし悲しいけれど、今までが異常だったのだ。
平民になった私に、何から何まで面倒を見てくれる公爵令息なんて、リファルド様しかいない。
このままでは、私との変な噂がたてられてしまうかもしれない。
私からちゃんと身を引かないとならない。
そのためには、私がリファルド様に頼らなくても生きていけるということを見せないと駄目だわ。
決意を新たにしたその数日後の朝、アキーム様から手紙が届いたのだった。
すると、難しい顔で尋ねてくる。
「どうしてそこまで君にこだわるのか、理由はわかるのか」
「こうだと確信しているわけではありませんが、支配できる人が好きなのではないかと思います。あと、母親からそう教わってきたのかもしれません」
「人の意見と自分の意見が違っていたら攻撃してくるような母親のようだからな」
眉根を寄せるリファルド様に頷く。
「自分の言っていることだけが正しくて、それ以外の意見を言う人は認められないというような人です」
「迷っているならまだしも、こうだと決めた人間に口を出す必要性はないと思うがな。考え方なんて人によって色々とあるだろう」
「普通の人はそう思うと思いますが、エレファーナ様は自分の意見が正しいと思い込んでいる人ですから話になりません。感じ方が違うと怒り始めて暴言を吐きます。言われた人が不快になることなんてどうでも良いんです」
「そんな奴と話をして決着がつくのか? 人を誹謗中傷することは罪だが、考えたことを言うのは罪ではない」
「最悪の場合は、ティアトレイを使うしかないかと思っています」
話し合いで解決しないのであれば、物理的に対抗するしか無い。
あの人は今の私よりも力は弱い。
できれば、距離を取ることで解決したかったけど、追いかけてくるのだからしょうがない。
自分に危害を加えられる前に対処するしかないのだ。
「一人にならないようにすることと、私がティアトレイを使ったとしても罪に問われないような状況に持って行くつもりです。彼らのせいで暴行罪で捕まるなんて馬鹿らしいですから」
「そうだな。俺も裏で手を回すようにするが、相手も黙ってはいないだろう」
相手というのはアキーム様たちのことではなく、敵対している公爵家のことを言っているのだとわかった。
「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」
「気にするな。好きでやってると言ってるだろ。それにしても、君は本当に変な人間に好かれるんだな」
「……前にも似たようなことを言われた気がしますね。アキーム様達は別として、普通の人から見たら変な人間であっても、常識を持っていて、人を思いやる気持ちを持っている人であれば、その人が人と変わった考えを持っていて変な人間と言われていても、私は気にならないと思います。だから、そういう変な人に好かれたいです」
「自分の言いたいことを言うだけじゃなく、相手の話も聞ける人だということだな」
リファルド様は納得したように頷いた。
「はい。あの、お疲れのところに嫌な話をして申し訳ございません」
「いや。俺も気になっていたから、教えてくれて助かる」
「……ありがとうございます」
ミリー様に言われて、再確認したことがある。
アキーム様の件が終わったら、リファルド様とはお別れだ。
寂しいし悲しいけれど、今までが異常だったのだ。
平民になった私に、何から何まで面倒を見てくれる公爵令息なんて、リファルド様しかいない。
このままでは、私との変な噂がたてられてしまうかもしれない。
私からちゃんと身を引かないとならない。
そのためには、私がリファルド様に頼らなくても生きていけるということを見せないと駄目だわ。
決意を新たにしたその数日後の朝、アキーム様から手紙が届いたのだった。