結婚白紙にされた傷心女子は、再会した御曹司に求婚される。
「待たせちゃってごめんね」
「いや、いいんだ。呼び出したのはこっちだし……」
「何か頼む?」
なぜか気まづそうに目をそらす彼にそう問いかけてメニュー表を手に取ろうとした。だがそれは彼の手によって止められた。
「頼む前に、話が……話すことがあるんだ」
「? うん、わかった。どうしたの?」
私が目線を合わせ問いかければ、彼はお冷を一気飲みをして一言「別れてほしい」と淡々と言った。
今、なんて……
「……えっ、なんて言ったの?」
彼の言葉を嘘だと思いたくて、体調が悪いからだと思いたくて問い返す。