結婚白紙にされた傷心女子は、再会した御曹司に求婚される。
そう言えば彼女は彼の腕に絡みついて「可愛いだなんて、もう優くんったら〜」と甘い声で言った。
「優くんは私にぞっこんなのよ。だから別れてよ。お金が必要ならお金くらいどれだけでも出すわよ。私のパパが出してくれると思うし」
「……っ……」
本当になんでこんな人を好きになったんだろう。何がよかったんだっけ……過去の自分に対して虫酸が走る。
「ねっ? 別れてよ」
「……わかりました。ですが、お金も要りません。この子は私一人で育てます」
私は立ち上がると、彼らとは目線も合わせずにカフェを出た。