結婚白紙にされた傷心女子は、再会した御曹司に求婚される。



「何なのそれ! 花耶を妊娠させといて、好きな人が出来たから別れるってクズじゃん! ……お腹の子は花耶が育てるの?」

「……うん、この子は私が育てるよ。私が幸せにするの、この子は。あの人たちはお金で解決することしか考えてなかった。相手もご令嬢でね、最低な奴に父親になって欲しいなんて思わないから」

「そうなのね、私は応援する。何か出来ることがあれば、言って。出来ることは少ないと思うけど、出来ることはするよ」


 彼女は私をぎゅっと抱きしめてくれて「頑張ったね」と優しく背中を撫でてくれた。




 それから楽しく談笑をしていると、桃花が「あ、そういえば」と呟いた。


「所長には言ったの? 妊娠のこと」

「まだ言ってないよ。明日、昼休憩に話に行こうと思ってるよ」

「そうなんだ。だけど、悪阻のこと考えると花耶は時短勤務になるのかな?」


 確かに先輩たちも妊娠してから時短勤務に切り替えていたしその方法もあるだろうけど、それはちゃんと旦那さんがいた場合になる。
 私の場合、これからも一人で育てていくから時短勤務じゃ金銭的に難しい。


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