結婚白紙にされた傷心女子は、再会した御曹司に求婚される。
所長室に招かれ私は入室した。
「どうしたの? 珍しいわね」
「はい。お時間をいただいてすみません。所長にお話があって、伝えておこうと」
「え、なに? どうかした?」
所長は優しい口調でそう問いかけてくれて少し安心する。だけど、話さなくてはと決意する。
「私、妊娠しました」
「え、妊娠? あなた、お付き合いしている方がいたの?」
「……はい、いました」
そう言えば、所長は「籍は入れないの?」と私に聞いてくる。当然の質問だ。相手がいなきゃ、妊娠はしない。
そして、その相手と結婚して出産が普通だ。