結婚白紙にされた傷心女子は、再会した御曹司に求婚される。



「あ……清水川先生」

「今日退院でしたね、望月さんおめでとうございます」

「ありがとうございます。清水川先生にもとてもお世話になりました。お話ができてよかったです」


 そんな会話をしていると、桃花が私の名前を呼んだ。

 その同じタイミングで「いちかせんせー」と呼ぶ男の子の声が聞こえてきて清水川先生は男の子の方に行ってしまった。先生もお仕事中だし、仕方ないとはいえもう少し話がしたかったななんて思ったりするのだが私も桃花がそばにいたため彼女を見た。


「さっきの清水川さん、だよね? 結構仲良しじゃん」

「うん。入院中に話し相手になってもらってたから」

「へぇ、そうなんだ。なんか怖そうだなって思ったけど、花耶にはすごい優しい顔するんだね。それに、学校が同じだったなんて運命じゃん。もう花耶は恋とか結婚とか考えてないの?」

「もう、いいんだ。それに私にはこの子がいるから、それだけでいいの」


 話をしながら歩いていると彼女の車が止めてある場所まで到着して乗り込んだ。



< 42 / 53 >

この作品をシェア

pagetop