結婚白紙にされた傷心女子は、再会した御曹司に求婚される。



  ***


 退院をして二日、私は所長の提案でつわりが治るまでの間有給をうまく使いながらの出勤をすることになり今日はその初日だった。


「おはようございます」

「おはよう、望月さん。そうだ、紹介するわね。あなたがいない時に入る月岡(つきおか)くん。まだパーサーになったばかりの二年目だけど、優秀でねチーフパーサーになったんだよ。九州支所から異動してきてもらったの」


 所長はさわやかそうな男性を連れてきて紹介してくださった。“パーサーになったばかり”だと所長は言っていた彼はチーフパーサーの証である紫色のバッチをつけている。

 私が何年も頑張っていただいたものなのに、もしかしたら自分がその席を与えてしまったのだろうか。そうだったらとても悔しい。


「……初めまして、望月さん。私は、月岡といいます。九州支所から来たばかりでわからないことばかりですがよろしくお願いします」

「望月です、こちらこそよろしくお願いします」



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