結婚白紙にされた傷心女子は、再会した御曹司に求婚される。
そんな月岡さんは今日は私と同じらしく、一緒にミーティングに向かった。
いつも通り、ワゴンの足りないものを補充したり機器の準備をして出発到着時間の確認をしてミーティング室を出るとホームへ向かう。
新幹線が入ってきて乗ってきたパーサーと引き継ぎをしてから仕事に取り掛かる。今日は私は巡回担当なので出発してすぐの仕事はアナウンスだ。受話器のようなマイクを横に向けて話し始めた。
「今日も新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、新大阪ゆきです。終点新大阪までの各駅に停まります。続いて車内のご案内です。自由席は――」
アナウンスをして巡回をして戻ると、月岡さんがいてまだ慣れていないパーサーのサポートをしていた。
「お疲れ様です、望月さん。体調大丈夫ですか? あとは自分がやるので少し休憩していてください」
「えっ、でも」
「こちらは大丈夫ですし、今日はパーサーが多いですし。久しぶりの勤務で大変だと思いますし」
そう月岡さんは言って私を座ることのできる休憩室に連れて行った。きっと親切だったんだろうけど、なんだかもういらないと言われた気がして悔しくなる。それに、私の居場所はもうないのかとも思ってしまう。