結婚白紙にされた傷心女子は、再会した御曹司に求婚される。
だけどそれは一瞬で、吹き飛んだ。
「これが胎嚢で赤ちゃんのお部屋でね、このトクトク動いてるのが心拍よ」
超音波検査のモニターを見ながら先生は説明してくれた。こんなに小さいのに、一生懸命心臓を動かしていて生きてる……どうしようなんて思った自分に苛立ちさえ覚えた。
「産むかどうかはしっかりとパートナーの人と考えて決め――」
私は先生の言葉を遮って「産みます。産みたいです」とはっきりと告げた。
「……分かったわ。望月さん、おめでとうございます。これから一緒に頑張りましょうね」
先生は優しく微笑んでこれからの説明をしてくれた。まずするのは母子手帳をもらうことだからと妊娠届出書を書いてもらって診察室を後にした。