結婚白紙にされた傷心女子は、再会した御曹司に求婚される。
まだ私が社会人になって仕事にようやく慣れてきた頃、同期で高校時代からの親友の桃花に誘われて恋活イベントに一緒に行った時に優仁とは出会った。
初対面の時、第一印象はチャラそうな人だなぁと思っていた。だけど話をしているうちにいい人なんだなと思って友人くらいならと、連絡先を交換した。
まだ彼は大学生だったけど親が経営している会社でバイトしていると言っていたが、仕事の愚痴を言い合ったりして好きになるまで時間は掛からなかった。
だけど関係を壊したくなくて、想いは伝えられなかった。だから今でも友人として過ごしていた……あの夜までは。
あの夜のことは今でも覚えている。月に一度のご褒美の日と決めている日があってフランス料理が美味しいホテルレストランに行った。
それはいつものことで何の変わりもないディナーになるはずだったのに、お酒を飲んでしまって酔って気付いたらホテルの一室にいた。
艶っぽい表情の彼に私は求めてしまった。今まで築いてきたものも一瞬で壊してしまうほどに求められるまま私は彼に身体を委ねてしまっていた――。