結婚白紙にされた新幹線パーサーは、再会した御曹司ドクターに求婚されました。




「いや、何かあってからじゃ遅い。そいつはその寮の場所を知ってるんだろう? 俺が送り迎えできればいいんだが……」


 うーんと唸る伊織さんに浩介さんが話の中に入ってきた。



「そうだ。チカと一緒に住めばどうだ? 色々心配だが、チカは医者だし体調に何かあれば安心だ」

「私、本当に大丈夫です」


 そう言うのに彼らはどんどん話を進めてしまっていて当事者であるはずの私は置いてけぼりだ。
 どうすればいいのか、どう会話の中に入ろうか考えていると伊誓さんが「あの、みなさん!」と大きめの声で叫んだ。


「どうした、そんな大きな声を出して」

「少し、花耶さんと二人で話をさせてください。決めるのは彼女ですから」

「そうだな。確かにそうだ、花耶ちゃんとチカで話し合いなさい」


 そう浩介さんが言うと皆が同意をした。だけど、なぜ一緒に住む前提なんだろうか……


「じゃあ、俺らは先に帰ろうかな。チカ、花耶ちゃんのことちゃんと送り届けるように」

「はい。お任せください」


 いや、だから何で話す前提!?

 あーだこうだ考えている間に伊誓さん以外出て行ってしまって私は彼と話し合うことになってしまった。








 
                                                               
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