迷惑ですから追いかけてこないでください!
プロローグ
今日の朝刊に、こんな記事が載っていた。
『今から約二年前、隣国のロシノアール王国の王妃陛下が二歳になった我が子を連れて失踪した。
王妃陛下たちが王城から逃げ出す際に手引きをしたと思われる侍女はすぐに捕まり、彼女は拷問の末に手違いで殺されたが、最後まで口を割らなかった。
王妃陛下はどこにいったのか。
なぜ、王城から王太子であるラルシード様を連れて逃げ出したのか。
関係者に確認を取ったところ、ロシノアールの国王陛下には側妃との間に三歳になる男の子がいる。側妃は自分の子供を王太子にすると言って、王妃陛下とラルシード様の捜索を打ち切らせた。
王妃陛下の失踪当時、事件については様々な憶測が流れていた。
側妃の陰謀論が最も有力視されていたが、そのことを口にすると命の危険があったため、密かに噂をするだけだった。
側妃に頭が上がらない国王は、自分や側妃の意見に反対する者の家族を殺すと脅しをかけたため、反対意見が表に出ることはなく、国民は平民出身の女性との間に生まれた子供が王太子になることは、明るい光として受け止めた。
そして、王妃陛下が失踪して二年が経とうとしていた昨日、王妃陛下は遺体となって見つかった。王都近くの湖に浮かんでいるのを、湖の管理人が発見したのだ。
首には絞められた痕があり、殺された後に湖に捨てられたのではないかと予想されている。
今回、王妃陛下が遺体で見つかったことにより、国民の間で謎が再燃した。
なぜ、国王陛下は側妃に頼まれたからとはいえ、王妃陛下を捜すことをやめたのか。後継者がいるとはいえ、捜さないという選択肢が理解できない。
そして、王妃陛下はなぜ今になって殺されたのか。
未だに見つかっていないラルシード様は今、どうしているのか。
生きていて保護された場合はどうなるのか。
これからの捜査や動向に注目していくことにする』
新聞を読み終えた私も色々と考えてみました。
もしかして、捜していないふりをしていたけど、本当は捜していたということでしょうか。今まで見つからなかったということも不明です。
誰かが匿っていたのでしょうか。
「私が考えてわかるくらいなら、すぐに捕まるでしょうし、暗いことを考えるのはやめますかね!」
こんなことを言ってはなんですが、隣国の話ですし、王家なんて私が絶対にかかわることのない人たちです。
そう自分に言い聞かせて、新聞をたたんで机の上に置いた。
見つかっていないラシルバート様も、きっと、王妃陛下が殺されたと同時刻に殺されてしまっているのでしょう。
そう思うと、会ったことも見たこともない人なのに胸が苦しくなりました。
といっても、まだわかりません。
ラシルバート様はまだ生きているかもしれませんから、縁起の悪いことを考えてはいけませんね。
王妃陛下に哀悼の意を表し、ラシルバート様がどこかで無事に生きていることを祈っていると、「ミリアーナ! ちょっと! どこにいるの!?」甲高いお姉さまの声が聞こえ、私は大きなため息を吐いたのでした。
『今から約二年前、隣国のロシノアール王国の王妃陛下が二歳になった我が子を連れて失踪した。
王妃陛下たちが王城から逃げ出す際に手引きをしたと思われる侍女はすぐに捕まり、彼女は拷問の末に手違いで殺されたが、最後まで口を割らなかった。
王妃陛下はどこにいったのか。
なぜ、王城から王太子であるラルシード様を連れて逃げ出したのか。
関係者に確認を取ったところ、ロシノアールの国王陛下には側妃との間に三歳になる男の子がいる。側妃は自分の子供を王太子にすると言って、王妃陛下とラルシード様の捜索を打ち切らせた。
王妃陛下の失踪当時、事件については様々な憶測が流れていた。
側妃の陰謀論が最も有力視されていたが、そのことを口にすると命の危険があったため、密かに噂をするだけだった。
側妃に頭が上がらない国王は、自分や側妃の意見に反対する者の家族を殺すと脅しをかけたため、反対意見が表に出ることはなく、国民は平民出身の女性との間に生まれた子供が王太子になることは、明るい光として受け止めた。
そして、王妃陛下が失踪して二年が経とうとしていた昨日、王妃陛下は遺体となって見つかった。王都近くの湖に浮かんでいるのを、湖の管理人が発見したのだ。
首には絞められた痕があり、殺された後に湖に捨てられたのではないかと予想されている。
今回、王妃陛下が遺体で見つかったことにより、国民の間で謎が再燃した。
なぜ、国王陛下は側妃に頼まれたからとはいえ、王妃陛下を捜すことをやめたのか。後継者がいるとはいえ、捜さないという選択肢が理解できない。
そして、王妃陛下はなぜ今になって殺されたのか。
未だに見つかっていないラルシード様は今、どうしているのか。
生きていて保護された場合はどうなるのか。
これからの捜査や動向に注目していくことにする』
新聞を読み終えた私も色々と考えてみました。
もしかして、捜していないふりをしていたけど、本当は捜していたということでしょうか。今まで見つからなかったということも不明です。
誰かが匿っていたのでしょうか。
「私が考えてわかるくらいなら、すぐに捕まるでしょうし、暗いことを考えるのはやめますかね!」
こんなことを言ってはなんですが、隣国の話ですし、王家なんて私が絶対にかかわることのない人たちです。
そう自分に言い聞かせて、新聞をたたんで机の上に置いた。
見つかっていないラシルバート様も、きっと、王妃陛下が殺されたと同時刻に殺されてしまっているのでしょう。
そう思うと、会ったことも見たこともない人なのに胸が苦しくなりました。
といっても、まだわかりません。
ラシルバート様はまだ生きているかもしれませんから、縁起の悪いことを考えてはいけませんね。
王妃陛下に哀悼の意を表し、ラシルバート様がどこかで無事に生きていることを祈っていると、「ミリアーナ! ちょっと! どこにいるの!?」甲高いお姉さまの声が聞こえ、私は大きなため息を吐いたのでした。
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