迷惑ですから追いかけてこないでください!
人がいないスペースまで来たところで立ち止まると、ポッコエ様は火傷部分を冷やしに行きました。
そういえば、高位貴族には魔法が使えるはずなのに、ポッコエ様は魔法で自分の火傷を癒したり、冷やしたりすることはできないのでしょうか。
高位貴族でも使えない人もいるのかもしれませんし、触れてはいけないところだったりするのでしょうか。
待っている間は手持ち無沙汰でしたので、人が近くにいないことを確認してから、シルバートレイで素振りをしていると、男性用のお手洗いから驚くくらいに美形の男性が出てきました。
素振りをしている私を見て驚いた顔をしたあと「失礼ですが、それはティアトレイですか」と話しかけてきました。
「はい。そうです」
取扱説明書に気を取られていましたが、商品名はティアトレイと書いてあった気がします。
「そんなに物騒な世の中になってるのか。突然、話しかけてしまい申し訳ございませんでした」
男性はそう言うと私に会釈して、女性用のお手洗いから出てきた、少し気の強そうな女性と合流しました。
「あの方、ティアトレイを持っていたわね」
「レイティア、すぐに首を突っ込もうとするな。行くぞ」
私の視線に気がついたのか、二人は私に笑顔で軽く頭を下げたあと、フロントのほうへ歩いて行きました。
ティアトレイってそんなに有名なものなんですね。
私は流行りに疎すぎるのかもしれません。
二人が歩いていった方向を見つめていると、コッポエ様がもどってきました。
「待たせたな」
「いえ。早速、本題に入ろうと思うのですが」
「まずは、俺の質問に答えろ。子供はどうしたんだ」
「売りました」
「は?」
「高く買ってくださる方がいらっしゃいましたので」
言い方は悪いですが、キール様に情報を売って宿屋での贅沢な生活やティアトレイなどをもらっているので、あながち嘘ではないはずです。
いないといえば諦めてくれるかもしれないと思って言ってみたのですが、コッポエ様は大激怒でした。
「なんだと、お前! 馬鹿なのか!」
コッポエ様がまた手を伸ばしてきたので、私は問答無用で彼の頬をシルバートレイの角で叩きました。
「い、いひゃっ」
ポッコエ様は情けない声を上げて後ずさります。
やりすぎてしまったかしら。
いえいえ、この人は子供を殴るような人ですもの。
ラシルくんに代わって私がお返ししてさしあげさしあげます!
「ポッコエ様、次は私が質問します。あなたにラシルくんを預けに来た女性は、一体何者なんですか」
ポッコエ様は頬を手で押さえながら、涙目で私を見つめたでした。
そういえば、高位貴族には魔法が使えるはずなのに、ポッコエ様は魔法で自分の火傷を癒したり、冷やしたりすることはできないのでしょうか。
高位貴族でも使えない人もいるのかもしれませんし、触れてはいけないところだったりするのでしょうか。
待っている間は手持ち無沙汰でしたので、人が近くにいないことを確認してから、シルバートレイで素振りをしていると、男性用のお手洗いから驚くくらいに美形の男性が出てきました。
素振りをしている私を見て驚いた顔をしたあと「失礼ですが、それはティアトレイですか」と話しかけてきました。
「はい。そうです」
取扱説明書に気を取られていましたが、商品名はティアトレイと書いてあった気がします。
「そんなに物騒な世の中になってるのか。突然、話しかけてしまい申し訳ございませんでした」
男性はそう言うと私に会釈して、女性用のお手洗いから出てきた、少し気の強そうな女性と合流しました。
「あの方、ティアトレイを持っていたわね」
「レイティア、すぐに首を突っ込もうとするな。行くぞ」
私の視線に気がついたのか、二人は私に笑顔で軽く頭を下げたあと、フロントのほうへ歩いて行きました。
ティアトレイってそんなに有名なものなんですね。
私は流行りに疎すぎるのかもしれません。
二人が歩いていった方向を見つめていると、コッポエ様がもどってきました。
「待たせたな」
「いえ。早速、本題に入ろうと思うのですが」
「まずは、俺の質問に答えろ。子供はどうしたんだ」
「売りました」
「は?」
「高く買ってくださる方がいらっしゃいましたので」
言い方は悪いですが、キール様に情報を売って宿屋での贅沢な生活やティアトレイなどをもらっているので、あながち嘘ではないはずです。
いないといえば諦めてくれるかもしれないと思って言ってみたのですが、コッポエ様は大激怒でした。
「なんだと、お前! 馬鹿なのか!」
コッポエ様がまた手を伸ばしてきたので、私は問答無用で彼の頬をシルバートレイの角で叩きました。
「い、いひゃっ」
ポッコエ様は情けない声を上げて後ずさります。
やりすぎてしまったかしら。
いえいえ、この人は子供を殴るような人ですもの。
ラシルくんに代わって私がお返ししてさしあげさしあげます!
「ポッコエ様、次は私が質問します。あなたにラシルくんを預けに来た女性は、一体何者なんですか」
ポッコエ様は頬を手で押さえながら、涙目で私を見つめたでした。