迷惑ですから追いかけてこないでください!
お姉様は私が聞き返したのは話が聞こえなかったからと判断したようです。
「一緒に住んであげると言ってるのよ!」
意味のわからないことを言ってきたので却下します。
「住めるわけないでしょう。ここはデファン公爵家の別荘ですよ」
「ということは、俺の別荘でもある!」
ポッコエ様は鉄柵を掴んで叫びます。
「いいから開けろ!」
「ポッコエ様は以前、私にされたことをもうお忘れのようですね」
「……そ、それは」
ティアトレイを左手の手のひらに軽く当てながら言うと、ポッコエ様の顔が引きつりました。
さすがに覚えているようですね。
ポッコエ様は怯みましたが、お姉様はそうではありません。
イライラした様子で話しかけてきます。
「ちょっと! それ、ティアトレイじゃないの! 欲しかったのよ! 私にちょうだい!」
「……お姉様はティアトレイを知っているんですね」
「知ってるに決まってるじゃない! それ、人気商品で入荷待ちなのよ!」
「これは人からの貰い物ですので、あなたにあげることはできません。それに、ちょっと触ってみてください」
お姉様が邪な考えの持ち主なら、ポッコエ様と同じように、ティアトレイは反応するはずです。
試してみるために、鉄柵の隙間から手を入れさせて、ティアトレイを触らせてみました。
「あっつ! 熱いわ!」
触れた途端、お姉様は手を引っ込めて叫びました。そんなお姉様に近寄り、ポッコエ様は話しかけます。
「や、やっぱりそうなるよな? あんなに熱いのに、どうしてミリアーナは平気なんだ?」
「わかりません! ポッコエ様の話を聞いているので、私の頭があれに触れると熱いのだと思い込んでいるのかもしれません!」
「脳が勝手に熱いと思い込んでいるから、火傷してしまうんだな!?」
「そうですね!」
話し合っている2人に声を掛けます。
「あの、用事がないなら帰ってください」
「あるわよ! 前から言っているでしょう!
妹のものは姉のものだって!」
「あなたの姉、どういう考え方してるのヨ」
足元にいるカーコさんが私を見上げて言った時、ポッコエ様がカーコさんを指差す。
「やっぱり、話すカラスっていうのはお前のことだったんだな! 最近、お前の姿を見かけないから怪しいと思って、お前の目撃情報を探してたんだ!」
普段は馬鹿なのに、余計なことには頭がまわるんですね!
ポッコエ様が言うには、この別荘に出入りしているお医者様が、庭でカーコさんとラシルくんが話をしているのを見たと話してしまったそうです。
お医者様も悪気はないんでしょうし、カーコさんたちも庭だから見られていないと思ったんでしょうね。
守秘義務があるから、わざわざ口止めしていませんでしたが、もっと、私が警戒するべきでした。
「ごめんなさい。油断していたワ」
「いいえ。カーコさんは悪くありません。庭は公爵家の敷地内ですもの。気を許してしまうのはしょうがないです。お医者様が患者のプライベートを話すほうが良くありません」
しょんぼりしてしまったカーコさんに声をかけてから、ポッコエ様に礼を言います。
「教えていただきありがとうございます。対処ができていませんでした」
「有り難いだろう? なら、中に入れろ!」
「嫌です。それよりもどうして、私たちと住みたいと思うんですか」
「お前のせいで、俺は公爵邸で笑い者にされてるんだ!」
「私のせいという意味がわかりません。それは昔からのことでしょう?」
言い返した時、馬の蹄の音が聞こえてきました。
私はその音が気になりましたが、ポッコエ様たちが気にする様子はありません。
「む、昔からだと!? わかっていても、そんなことを言わないのが人間としての常識だろうが!」
「……よくもそんなことを兄さんが言えるものですね」
ポッコエ様の発言に答えたのは、馬に乗って現れたキール様だった。
「一緒に住んであげると言ってるのよ!」
意味のわからないことを言ってきたので却下します。
「住めるわけないでしょう。ここはデファン公爵家の別荘ですよ」
「ということは、俺の別荘でもある!」
ポッコエ様は鉄柵を掴んで叫びます。
「いいから開けろ!」
「ポッコエ様は以前、私にされたことをもうお忘れのようですね」
「……そ、それは」
ティアトレイを左手の手のひらに軽く当てながら言うと、ポッコエ様の顔が引きつりました。
さすがに覚えているようですね。
ポッコエ様は怯みましたが、お姉様はそうではありません。
イライラした様子で話しかけてきます。
「ちょっと! それ、ティアトレイじゃないの! 欲しかったのよ! 私にちょうだい!」
「……お姉様はティアトレイを知っているんですね」
「知ってるに決まってるじゃない! それ、人気商品で入荷待ちなのよ!」
「これは人からの貰い物ですので、あなたにあげることはできません。それに、ちょっと触ってみてください」
お姉様が邪な考えの持ち主なら、ポッコエ様と同じように、ティアトレイは反応するはずです。
試してみるために、鉄柵の隙間から手を入れさせて、ティアトレイを触らせてみました。
「あっつ! 熱いわ!」
触れた途端、お姉様は手を引っ込めて叫びました。そんなお姉様に近寄り、ポッコエ様は話しかけます。
「や、やっぱりそうなるよな? あんなに熱いのに、どうしてミリアーナは平気なんだ?」
「わかりません! ポッコエ様の話を聞いているので、私の頭があれに触れると熱いのだと思い込んでいるのかもしれません!」
「脳が勝手に熱いと思い込んでいるから、火傷してしまうんだな!?」
「そうですね!」
話し合っている2人に声を掛けます。
「あの、用事がないなら帰ってください」
「あるわよ! 前から言っているでしょう!
妹のものは姉のものだって!」
「あなたの姉、どういう考え方してるのヨ」
足元にいるカーコさんが私を見上げて言った時、ポッコエ様がカーコさんを指差す。
「やっぱり、話すカラスっていうのはお前のことだったんだな! 最近、お前の姿を見かけないから怪しいと思って、お前の目撃情報を探してたんだ!」
普段は馬鹿なのに、余計なことには頭がまわるんですね!
ポッコエ様が言うには、この別荘に出入りしているお医者様が、庭でカーコさんとラシルくんが話をしているのを見たと話してしまったそうです。
お医者様も悪気はないんでしょうし、カーコさんたちも庭だから見られていないと思ったんでしょうね。
守秘義務があるから、わざわざ口止めしていませんでしたが、もっと、私が警戒するべきでした。
「ごめんなさい。油断していたワ」
「いいえ。カーコさんは悪くありません。庭は公爵家の敷地内ですもの。気を許してしまうのはしょうがないです。お医者様が患者のプライベートを話すほうが良くありません」
しょんぼりしてしまったカーコさんに声をかけてから、ポッコエ様に礼を言います。
「教えていただきありがとうございます。対処ができていませんでした」
「有り難いだろう? なら、中に入れろ!」
「嫌です。それよりもどうして、私たちと住みたいと思うんですか」
「お前のせいで、俺は公爵邸で笑い者にされてるんだ!」
「私のせいという意味がわかりません。それは昔からのことでしょう?」
言い返した時、馬の蹄の音が聞こえてきました。
私はその音が気になりましたが、ポッコエ様たちが気にする様子はありません。
「む、昔からだと!? わかっていても、そんなことを言わないのが人間としての常識だろうが!」
「……よくもそんなことを兄さんが言えるものですね」
ポッコエ様の発言に答えたのは、馬に乗って現れたキール様だった。