迷惑ですから追いかけてこないでください!
「なんてことをするんですか!」
私が叫ぶと、ポッコエ様は笑いながら答えます。
「俺は子供が好きじゃないと言っただろう? 俺に預けるというのならば、この子供は俺に毎日暴力を受けることになるが、それでも良いんだな?」
「良いわけがありません!」
蹴られた勢いで床に倒れたラシルくんを介抱しながら、ポッコエ様を睨みつける。
「ここに来るまでに、この子に暴力をふるったのですか」
「一度、頭を叩いたらびくびくするようになったから、面白くて何度か叩いた。安心しろ。頭を叩いたのは一度だけだ」
「信じられません!」
泣けば怒られると思っているのでしょう。
体を震わせて涙をこらえているラシルくんを、このままコッポエ様に返すわけにはいきません。
こんな人に任せるくらいなら私が預かるしかないのかしら。
でも、婚約破棄されたから、私はこの家を追い出されるに決まっています。
どうしたら、この子を助けてあげられるのでしょうか。
「さあ、ミリアーナ。どうするんだ? お前は子供を見捨てるのか?」
子どもを見捨てているのはあなたじゃないですか!
立ち上がったラシルくんの背中を撫でながら、はっきりと伝えます。
「コッポエ様にはお任せできません! 私がお預かりします!」
「そうか。預かってくれるか。この俺もさすがに子供を路上に捨てると言うのは胸が痛むんで助かる」
このヘッポコ!
身分の差を忘れてそう叫びたくなりました。
「あとはミリアーナに任せて行こう」
「……はい」
促されたお姉様とポッコエ様が出ていったあと、執事にラシルくんを預け、両親に今回の件を説明しました。
すると、お母様はすごい剣幕でまくし立てます。
「婚約破棄されたですって!? しかも、愛人の子供を押し付けられたなんて! あなたは本当に馬鹿な子ね! 何をどうしたらそんな生き方ができるというの!?」
「まあ、いいだろう。新しい相手はジョセアンナだ。公爵家の金が入ってくることに変わりはない。私たちに損はないからな」
お父様が豪快に笑って言うと、お母様は目を吊り上げて言います。
「あなた! そんな風にミリアーナを甘やかしてはいけませんわ! 本当にこの子は変わり者なんですから! こんな子に育ったのはあなたのせいですわよ!」
「いや、お前のせいだろう! 私は子育てには関与していない!」
「それを言ったらわたくしもですわ! わたくしはノバルスしか可愛がっていません!」
仲良く喧嘩を始めた二人を冷めた目で見ていると、私の視線に気がついた二人は喧嘩をやめたのでした。
私が叫ぶと、ポッコエ様は笑いながら答えます。
「俺は子供が好きじゃないと言っただろう? 俺に預けるというのならば、この子供は俺に毎日暴力を受けることになるが、それでも良いんだな?」
「良いわけがありません!」
蹴られた勢いで床に倒れたラシルくんを介抱しながら、ポッコエ様を睨みつける。
「ここに来るまでに、この子に暴力をふるったのですか」
「一度、頭を叩いたらびくびくするようになったから、面白くて何度か叩いた。安心しろ。頭を叩いたのは一度だけだ」
「信じられません!」
泣けば怒られると思っているのでしょう。
体を震わせて涙をこらえているラシルくんを、このままコッポエ様に返すわけにはいきません。
こんな人に任せるくらいなら私が預かるしかないのかしら。
でも、婚約破棄されたから、私はこの家を追い出されるに決まっています。
どうしたら、この子を助けてあげられるのでしょうか。
「さあ、ミリアーナ。どうするんだ? お前は子供を見捨てるのか?」
子どもを見捨てているのはあなたじゃないですか!
立ち上がったラシルくんの背中を撫でながら、はっきりと伝えます。
「コッポエ様にはお任せできません! 私がお預かりします!」
「そうか。預かってくれるか。この俺もさすがに子供を路上に捨てると言うのは胸が痛むんで助かる」
このヘッポコ!
身分の差を忘れてそう叫びたくなりました。
「あとはミリアーナに任せて行こう」
「……はい」
促されたお姉様とポッコエ様が出ていったあと、執事にラシルくんを預け、両親に今回の件を説明しました。
すると、お母様はすごい剣幕でまくし立てます。
「婚約破棄されたですって!? しかも、愛人の子供を押し付けられたなんて! あなたは本当に馬鹿な子ね! 何をどうしたらそんな生き方ができるというの!?」
「まあ、いいだろう。新しい相手はジョセアンナだ。公爵家の金が入ってくることに変わりはない。私たちに損はないからな」
お父様が豪快に笑って言うと、お母様は目を吊り上げて言います。
「あなた! そんな風にミリアーナを甘やかしてはいけませんわ! 本当にこの子は変わり者なんですから! こんな子に育ったのはあなたのせいですわよ!」
「いや、お前のせいだろう! 私は子育てには関与していない!」
「それを言ったらわたくしもですわ! わたくしはノバルスしか可愛がっていません!」
仲良く喧嘩を始めた二人を冷めた目で見ていると、私の視線に気がついた二人は喧嘩をやめたのでした。