Bravissima!ブラヴィッシマ
「理事長の嘘つきー!どこが小ぢんまりよー!」
2週間後。
部屋でくつろいでいた芽衣は、公平から送られてきたポスターのデータを見て、ムキー!とベッドの上を転がり回る。
たった2週間で、聖のヴァイオリンと芽衣のピアノのコンサートの段取りを整え、ポスターまで作ってしまったことにも驚いたが、それだけではない。
てっきり如月シンフォニーホールの小ホールを使うのだと思っていたのだが、ポスターにはメインホールが会場と書かれていた。
つまり、客席数2000席余り。
2000人の観客を前に弾くことになるのだ。
ドリームステージで一度経験済みとはいえ、オケと共演したあの時とは訳が違う。
なにせ、あんなにも大きなホールで、ヴァイオリンとピアノの音しかしないのだ。
聖の音がない前奏などは、まるで丸裸にさせられているような気分でピアノを弾くことになる。
「もう、いやー!それに、何?この『最後の1曲は皆様からの人気投票にて』って」
とにかく話が分からないと、芽衣は公平に電話をかけてみた。
『あ、芽衣ちゃん?ポスター見てくれた?』
「見ました!驚きました!どうしてメインホールなんですか?全然小ぢんまりじゃないですよね?」
『まあ、あの理事長のやることだからね。しかも曲目を、動画の視聴者の投票で決めるっていうね』
「そう、それ!どういうことなんですか?」
芽衣は身を乗り出してスマートフォンを握りしめた。
『2部構成なんだけど、1部はスプリングソナタとか、春らしい曲にして。休憩を挟んだ第2部のラストは、ネットでアンケートを取って、過去の演奏動画から聴きたい曲を募るんだって。それを演奏するらしい』
「ええ?!それじゃあ、直前までどの曲か分からないってことですか?」
『まあ、そうなるね』
そんなー!と芽衣は悲鳴を上げる。
「練習出来ないじゃないですか!」
『聖と芽衣ちゃんだもん。必要ないんじゃない?それにさ、既に投票開始しちゃってるんだよね』
「な、なんですって?!」
『賑わってるよー。聴きに行けなくても投票はしたいって、日本中、いや海外からもね。前評判もなかなかだし、かなりこのコンサートは注目されてる。いやー、理事長の手腕には毎回驚かされるよ』
もはや芽衣は、ポカーンと気が抜けた。
『じゃあ、また詳しいことは追って連絡するね。あ、ギャラは既に振り込んでおいたから、確認しておいて。じゃあね!』
そう言って電話は切れる。
ノロノロとスマートフォンを操作して、ネットバンキングで振り込み額を確認した芽衣は、更に「ギャーー!」と悲鳴を上げた。
2週間後。
部屋でくつろいでいた芽衣は、公平から送られてきたポスターのデータを見て、ムキー!とベッドの上を転がり回る。
たった2週間で、聖のヴァイオリンと芽衣のピアノのコンサートの段取りを整え、ポスターまで作ってしまったことにも驚いたが、それだけではない。
てっきり如月シンフォニーホールの小ホールを使うのだと思っていたのだが、ポスターにはメインホールが会場と書かれていた。
つまり、客席数2000席余り。
2000人の観客を前に弾くことになるのだ。
ドリームステージで一度経験済みとはいえ、オケと共演したあの時とは訳が違う。
なにせ、あんなにも大きなホールで、ヴァイオリンとピアノの音しかしないのだ。
聖の音がない前奏などは、まるで丸裸にさせられているような気分でピアノを弾くことになる。
「もう、いやー!それに、何?この『最後の1曲は皆様からの人気投票にて』って」
とにかく話が分からないと、芽衣は公平に電話をかけてみた。
『あ、芽衣ちゃん?ポスター見てくれた?』
「見ました!驚きました!どうしてメインホールなんですか?全然小ぢんまりじゃないですよね?」
『まあ、あの理事長のやることだからね。しかも曲目を、動画の視聴者の投票で決めるっていうね』
「そう、それ!どういうことなんですか?」
芽衣は身を乗り出してスマートフォンを握りしめた。
『2部構成なんだけど、1部はスプリングソナタとか、春らしい曲にして。休憩を挟んだ第2部のラストは、ネットでアンケートを取って、過去の演奏動画から聴きたい曲を募るんだって。それを演奏するらしい』
「ええ?!それじゃあ、直前までどの曲か分からないってことですか?」
『まあ、そうなるね』
そんなー!と芽衣は悲鳴を上げる。
「練習出来ないじゃないですか!」
『聖と芽衣ちゃんだもん。必要ないんじゃない?それにさ、既に投票開始しちゃってるんだよね』
「な、なんですって?!」
『賑わってるよー。聴きに行けなくても投票はしたいって、日本中、いや海外からもね。前評判もなかなかだし、かなりこのコンサートは注目されてる。いやー、理事長の手腕には毎回驚かされるよ』
もはや芽衣は、ポカーンと気が抜けた。
『じゃあ、また詳しいことは追って連絡するね。あ、ギャラは既に振り込んでおいたから、確認しておいて。じゃあね!』
そう言って電話は切れる。
ノロノロとスマートフォンを操作して、ネットバンキングで振り込み額を確認した芽衣は、更に「ギャーー!」と悲鳴を上げた。