Bravissima!ブラヴィッシマ
3曲目は、メンデルスゾーンの《ヴァイオリン協奏曲》第1楽章

そして4曲目に、二人が初めて合わせた曲
パガニーニの ヴァイオリン協奏曲 第2番 第3楽章《ラ・カンパネラ》を弾くと、観客のボルテージは一気に上がった。

そのあと、次の曲の前に芽衣だけ袖にはける。

そう、第1部最後の曲は無伴奏の曲。

エルンスト作曲《夏の名残のバラによる変奏曲》だった。

これが人気投票で選ばれれば、2度弾くことになると言っていた聖だが、もし選ばれなければこの曲は披露しないことになる。

この曲を楽しみにしてくれている人をガッカリさせてしまうからと、聖は自らプログラムに入れることを決めたのだった。

(うっひゃ!すごい!かっこいい!まさに神技!)

舞台袖で、芽衣はもうこぼれ落ちそうなほど大きく目を見開き、固唾を呑んで聖を見守る。

(一人の音とは思えないくらい、たくさんの音がする。それに超絶技巧なのに、それを感じさせない素敵な歌い方。美しいわあ)

うっとりと聴き惚れ、聖が弾き終わると、客席からの拍手と一緒に芽衣も大きな拍手を送る。

聖は爽やかな笑みで観客にお辞儀をしてから、舞台をあとにした。
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