Bravissima!ブラヴィッシマ
「あの二人、何かあったんでしょうかね?」
「知らん。前から知り合いだったのか?」
「いえ。今日が初対面のはずですけど」

残された芽衣と聖は、今しがた出て行ったばかりの二人に首をひねる。

「公平があんなに楽しそうに女の子としゃべってるの、初めて見たかも」
「そうなんですか?弥生ちゃんはいつもあんなふうに、誰とでもすぐ仲良くなるんですけどね。それにしても、二人の演奏良かったですねー。高瀬さんの大人の色気、素敵でした」

芽衣は両手で頬を押さえて、思い出したようにうっとりする。

「高瀬さんはどこで色気を手に入れたんだろう?」
「またそれかよ。お前、本気でどこかの店に『色気』って売ってると思ってる?」
「そうだったら買いに行きます」
「売っとらんわ!」

聖は勢い良く立ち上がる。

「ほら、もう12時だ。早く寝ろよ」

そう言って聖は奥のベッドルームに消えた。

「えっ?12時?深夜……0時?」

いやー!!という芽衣の悲鳴は、防音室の為、聖には届かなかった。
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