Bravissima!ブラヴィッシマ
「どうして?如月さんは心の綺麗な人のはずでしょ?でなけりゃ、あんなにも美しい音が出せるはずないもん」
「ちょっと待て、俺を犯罪者扱いするな。確かにお前の近くにウイスキーを置いた俺が悪かった。お前が間違えて飲んだのも、酔っ払ったのも俺の責任だ。だけど、喉が熱いと苦しそうなお前を放っておけなかった。だから、その……、水を飲ませたんだ。口移しで」
「え……」
芽衣の身体から力が抜ける。
「そうだったんですか」
「ああ。けどいくら仕方なかったとはいえ、お前の大事な、その、初めてのキスを奪ってしまったのは申し訳ないと思ってた。謝りたくても話せないし、かと言ってこのまま知らせないってのもなんか……」
「なるほど、それは悩みますね。黙っていればバレませんが、良心の呵責といいますか」
「そう。だから責任取る。お前の初めては俺が引き受ける。それならいいだろ?」
「ええー?!なんか俺様ですね。仕方なくもらってやるぜ、みたいな」
「嫌なら別の男のところに行けばいい。だけどお前は、ファーストキスを大切にする子だ。初めての思い出をずっとずっと心の中に秘めておくような、綺麗な心の持ち主だ。そんなお前の相手は俺しかいない」
真顔で言い切る聖に、芽衣はぱちぱちと瞬きを繰り返した。
「え、やっぱりどう聞いても、オラオラ節にしか聞こえませんけど?」
「なんだよ、オラオラ節って」
「この俺様がもらってやるんだぞ?ありがたく思えよ、みたいな」
「あーもう、うるさいな!そんな訳ないだろ!お前が好きって言ってんの!」
「……は?」
「何度も言わせるな!俺はお前に惚れてんの!これからもずっと俺のそばにいろ。分かったか?」
「え、脅し……」
「違うわ!」
聖は胸にギュッと芽衣を抱きしめると、耳元でささやく。
「俺はお前の音が好きだ。純粋な心で奏でる、綺麗な音色が大好きだ。優しくて温かくて、キラキラ輝いてて力強くて……。切なくて愛しくて、たまらなく心を揺さぶられる。お前の音は、お前自身の表れだ。感情豊かで、素直で、真っ直ぐで。何のけがれもなく音楽に満ち溢れている。俺は心からお前に惹かれている。大好きなんだよ……、芽衣」
切なげな聖の声に、芽衣は胸が締めつけられた。
「如月さん……。私もあなたの音が大好きです。音楽に情熱を注いで、音に気持ちを込めて、真っ直ぐに心に届けてくれるあなたの音色が大好きです。悩む私を支えて、励まして、導いてくれて、本当にありがとうございました。私に過去を乗り越える勇気をくれて、ありがとう。どんな時も寄り添い、そばにいてくれてありがとう。私もあなたが大好きです」
「芽衣……」
抱きしめられたまま優しく見つめられ、芽衣の顔は真っ赤になる。
「あの、ちょっと恥ずかしいです。こんな如月さん、初めてだから」
「どんな俺?」
「だから、その。いつもは無愛想で何かにつけてプンプン怒るのに、今は……。優しくて、かっこ良くて、とろけそうなくらい甘い眼差しで」
「ふうん?」
「ふうんって、何?」
「いや?可愛いなと思って」
ボン!と芽衣の顔は更に赤くなった。
「あはは!タコみたいだな」
「もう!」
むくれると、芽衣、と優しく名前を呼ばれた。
「芽衣が一生、大切に心の中にしまっておけるような、極上のファーストキスを贈る」
「え?」
「目を閉じて」
そう言うと聖は、ゆっくりと芽衣に顔を寄せる。
胸の高鳴りを感じながら、芽衣はそっと目を閉じた。
温かい唇が触れ合い、キュッと切なく胸が痛む。
そこからじんわりと、身体中に甘いしびれが広がった。
涙が込み上げてきて、まぶたが震える。
聖はそんな芽衣をさらに強く抱きしめ、深く熱くキスをする。
芽衣の身体から力が抜け、吐息がもれた。
胸が苦しくなるほどの切なさと、涙がこぼれ落ちるほどの幸せ。
大切に大切に、ずっと心の中にしまっておこう。
聖と芽衣は、同じ想いを胸に噛みしめていた。
「ちょっと待て、俺を犯罪者扱いするな。確かにお前の近くにウイスキーを置いた俺が悪かった。お前が間違えて飲んだのも、酔っ払ったのも俺の責任だ。だけど、喉が熱いと苦しそうなお前を放っておけなかった。だから、その……、水を飲ませたんだ。口移しで」
「え……」
芽衣の身体から力が抜ける。
「そうだったんですか」
「ああ。けどいくら仕方なかったとはいえ、お前の大事な、その、初めてのキスを奪ってしまったのは申し訳ないと思ってた。謝りたくても話せないし、かと言ってこのまま知らせないってのもなんか……」
「なるほど、それは悩みますね。黙っていればバレませんが、良心の呵責といいますか」
「そう。だから責任取る。お前の初めては俺が引き受ける。それならいいだろ?」
「ええー?!なんか俺様ですね。仕方なくもらってやるぜ、みたいな」
「嫌なら別の男のところに行けばいい。だけどお前は、ファーストキスを大切にする子だ。初めての思い出をずっとずっと心の中に秘めておくような、綺麗な心の持ち主だ。そんなお前の相手は俺しかいない」
真顔で言い切る聖に、芽衣はぱちぱちと瞬きを繰り返した。
「え、やっぱりどう聞いても、オラオラ節にしか聞こえませんけど?」
「なんだよ、オラオラ節って」
「この俺様がもらってやるんだぞ?ありがたく思えよ、みたいな」
「あーもう、うるさいな!そんな訳ないだろ!お前が好きって言ってんの!」
「……は?」
「何度も言わせるな!俺はお前に惚れてんの!これからもずっと俺のそばにいろ。分かったか?」
「え、脅し……」
「違うわ!」
聖は胸にギュッと芽衣を抱きしめると、耳元でささやく。
「俺はお前の音が好きだ。純粋な心で奏でる、綺麗な音色が大好きだ。優しくて温かくて、キラキラ輝いてて力強くて……。切なくて愛しくて、たまらなく心を揺さぶられる。お前の音は、お前自身の表れだ。感情豊かで、素直で、真っ直ぐで。何のけがれもなく音楽に満ち溢れている。俺は心からお前に惹かれている。大好きなんだよ……、芽衣」
切なげな聖の声に、芽衣は胸が締めつけられた。
「如月さん……。私もあなたの音が大好きです。音楽に情熱を注いで、音に気持ちを込めて、真っ直ぐに心に届けてくれるあなたの音色が大好きです。悩む私を支えて、励まして、導いてくれて、本当にありがとうございました。私に過去を乗り越える勇気をくれて、ありがとう。どんな時も寄り添い、そばにいてくれてありがとう。私もあなたが大好きです」
「芽衣……」
抱きしめられたまま優しく見つめられ、芽衣の顔は真っ赤になる。
「あの、ちょっと恥ずかしいです。こんな如月さん、初めてだから」
「どんな俺?」
「だから、その。いつもは無愛想で何かにつけてプンプン怒るのに、今は……。優しくて、かっこ良くて、とろけそうなくらい甘い眼差しで」
「ふうん?」
「ふうんって、何?」
「いや?可愛いなと思って」
ボン!と芽衣の顔は更に赤くなった。
「あはは!タコみたいだな」
「もう!」
むくれると、芽衣、と優しく名前を呼ばれた。
「芽衣が一生、大切に心の中にしまっておけるような、極上のファーストキスを贈る」
「え?」
「目を閉じて」
そう言うと聖は、ゆっくりと芽衣に顔を寄せる。
胸の高鳴りを感じながら、芽衣はそっと目を閉じた。
温かい唇が触れ合い、キュッと切なく胸が痛む。
そこからじんわりと、身体中に甘いしびれが広がった。
涙が込み上げてきて、まぶたが震える。
聖はそんな芽衣をさらに強く抱きしめ、深く熱くキスをする。
芽衣の身体から力が抜け、吐息がもれた。
胸が苦しくなるほどの切なさと、涙がこぼれ落ちるほどの幸せ。
大切に大切に、ずっと心の中にしまっておこう。
聖と芽衣は、同じ想いを胸に噛みしめていた。