Bravissima!ブラヴィッシマ
どんなに好きか
『めーいー、昨日はお疲れ!』
翌日の夜。
ひとり暮らしの部屋に戻った芽衣は、弥生からの電話を受けていた。
「弥生ちゃん!昨日はありがとね」
『こちらこそ、楽しかったー!如月さんにもよろしくね』
「うん、分かった」
『それとね、ちょっと公平さんに伝えてもらいたいことがあるんだ』
ん?と芽衣は首をひねる。
「高瀬さんに伝えたいこと?なあに?」
『うん、えっとね。「頃合いをみて、あなたとは別れたことにしますから、どうぞご心配なく」って』
「は?ちょ、何?」
『そのまま伝えてくれたら分かるから』
「いやいやいや、私は全然分かんない!どういうこと?」
『ちょっと芽衣、声が大きい。耳がやられる』
そう言いつつ、弥生は昨夜ホテルをあとにしてからのことを話し出した。
『公平さん、私のうちまでタクシーで送ってくれたのよ。で、ありがとうございましたって挨拶してたら、お父さんがバーン!って出て来てね。「うちの娘をどうする気だ?!」とか騒いじゃって。そしたら公平さん、「初めまして、高瀬 公平と申します。弥生さんとは結婚を前提におつき合いさせていただいております。ご挨拶が遅くなり、申し訳ありません」って、咄嗟にお芝居して頭下げてくれたのよ』
ひょえー!と芽衣は後ろに倒れ込みそうになった。
「高瀬さん、なんて落ち着きあるジェントルマン」
『でしょー?もう私、お父さんが恥ずかしくなっちゃってさ。背中押して、とにかくうちの中に押し込んだのよ。で、公平さんときちんと話せず「それじゃあ」って別れちゃったの。だからお礼を言いたくてね』
「なるほど。それで弥生ちゃん、しばらくしたらお父さんに、別れたって報告するつもりなのね」
『うん。そうすればこれ以上、公平さんにご迷惑はかからないよね?』
「それはそうだけど。でも弥生ちゃん、私はその伝言預かれない。高瀬さんに弥生ちゃんの連絡先を教えてもいい?二人で直接話した方がいいと思うから」
『そう?じゃあお願い。電話でもメッセージでもいいから、連絡してくださいって伝えて』
分かった、と電話を切り、芽衣は改めて感心する。
(高瀬さんってほんとにスマートだなー。想像つくもん。弥生ちゃんのお父さんに、礼儀正しく挨拶する姿が)
そう思いながら、早速電話してみた。
『もしもし、芽衣ちゃん?』
「あ、高瀬さん。今お話ししてもいいですか?」
『うん、いいよ。昨日はお疲れ様。疲れてない?』
「はい、大丈夫です。コンサートでは色々お世話になりました。弥生ちゃんのことも、タクシーで送ってくださってありがとうございました」
『どういたしまして。俺も弥生ちゃんと話せて楽しかったよ』
爽やかな口調は、さすがのジェントルマンだ。
「それで弥生ちゃんが、高瀬さんに伝えたいことがあるって。私に伝言頼まれたんですけど、直接話した方がいいと思うんです。もしよければ、高瀬さんから弥生ちゃんに連絡してもらえませんか?電話でもメッセージでも構わないそうです」
『ふうん、なんだろう?分かった、連絡してみるよ』
「はい。じゃあ、あとで弥生ちゃんの連絡先をメッセージで送りますね」
『うん。ありがとう、芽衣ちゃん』
通話を終えると、すぐさま弥生の連絡先をメッセージで送った。
ありがとう!のスタンプが返ってくる。
「これでよしっと。高瀬さん、すぐに弥生ちゃんに電話するのかな?何話してるんだろう。でもさ、お芝居じゃなくてほんとにくっついちゃえばいいのにねー。お似合いだもん、あの二人。ふふふ」
そんな芽衣のひとり言は、すぐに現実のものとなった。
翌日の夜。
ひとり暮らしの部屋に戻った芽衣は、弥生からの電話を受けていた。
「弥生ちゃん!昨日はありがとね」
『こちらこそ、楽しかったー!如月さんにもよろしくね』
「うん、分かった」
『それとね、ちょっと公平さんに伝えてもらいたいことがあるんだ』
ん?と芽衣は首をひねる。
「高瀬さんに伝えたいこと?なあに?」
『うん、えっとね。「頃合いをみて、あなたとは別れたことにしますから、どうぞご心配なく」って』
「は?ちょ、何?」
『そのまま伝えてくれたら分かるから』
「いやいやいや、私は全然分かんない!どういうこと?」
『ちょっと芽衣、声が大きい。耳がやられる』
そう言いつつ、弥生は昨夜ホテルをあとにしてからのことを話し出した。
『公平さん、私のうちまでタクシーで送ってくれたのよ。で、ありがとうございましたって挨拶してたら、お父さんがバーン!って出て来てね。「うちの娘をどうする気だ?!」とか騒いじゃって。そしたら公平さん、「初めまして、高瀬 公平と申します。弥生さんとは結婚を前提におつき合いさせていただいております。ご挨拶が遅くなり、申し訳ありません」って、咄嗟にお芝居して頭下げてくれたのよ』
ひょえー!と芽衣は後ろに倒れ込みそうになった。
「高瀬さん、なんて落ち着きあるジェントルマン」
『でしょー?もう私、お父さんが恥ずかしくなっちゃってさ。背中押して、とにかくうちの中に押し込んだのよ。で、公平さんときちんと話せず「それじゃあ」って別れちゃったの。だからお礼を言いたくてね』
「なるほど。それで弥生ちゃん、しばらくしたらお父さんに、別れたって報告するつもりなのね」
『うん。そうすればこれ以上、公平さんにご迷惑はかからないよね?』
「それはそうだけど。でも弥生ちゃん、私はその伝言預かれない。高瀬さんに弥生ちゃんの連絡先を教えてもいい?二人で直接話した方がいいと思うから」
『そう?じゃあお願い。電話でもメッセージでもいいから、連絡してくださいって伝えて』
分かった、と電話を切り、芽衣は改めて感心する。
(高瀬さんってほんとにスマートだなー。想像つくもん。弥生ちゃんのお父さんに、礼儀正しく挨拶する姿が)
そう思いながら、早速電話してみた。
『もしもし、芽衣ちゃん?』
「あ、高瀬さん。今お話ししてもいいですか?」
『うん、いいよ。昨日はお疲れ様。疲れてない?』
「はい、大丈夫です。コンサートでは色々お世話になりました。弥生ちゃんのことも、タクシーで送ってくださってありがとうございました」
『どういたしまして。俺も弥生ちゃんと話せて楽しかったよ』
爽やかな口調は、さすがのジェントルマンだ。
「それで弥生ちゃんが、高瀬さんに伝えたいことがあるって。私に伝言頼まれたんですけど、直接話した方がいいと思うんです。もしよければ、高瀬さんから弥生ちゃんに連絡してもらえませんか?電話でもメッセージでも構わないそうです」
『ふうん、なんだろう?分かった、連絡してみるよ』
「はい。じゃあ、あとで弥生ちゃんの連絡先をメッセージで送りますね」
『うん。ありがとう、芽衣ちゃん』
通話を終えると、すぐさま弥生の連絡先をメッセージで送った。
ありがとう!のスタンプが返ってくる。
「これでよしっと。高瀬さん、すぐに弥生ちゃんに電話するのかな?何話してるんだろう。でもさ、お芝居じゃなくてほんとにくっついちゃえばいいのにねー。お似合いだもん、あの二人。ふふふ」
そんな芽衣のひとり言は、すぐに現実のものとなった。