Bravissima!ブラヴィッシマ
両家への挨拶を済ませたあと、芽衣は聖のマンションに引っ越してきた。

実家のピアノ教室を手伝いながら、ホテルのロビー演奏などをこなし、時々聖との演奏を動画撮影する。

如月フィルの公式動画サイトは、二人のコンサート以降、更に注目を集め、動画の収入はかなりの額になっているらしい。

その分、如月フィルの活動に予算がかけられ、聖はコンマスとして忙しい毎日を送っていた。

事務局長の公平も同じく多忙を極めていたが、芽衣と弥生が二人で楽しそうに結婚式の準備をするのを微笑ましく見守り、聖も公平も「好きなところに決めていいよ」と二人に伝えていた。

結局、芽衣と弥生は仲良く「ここがいい!」と同じホテルの式場に決める。

それはあの、四人で過ごしたスイートルームがあるホテル。

如月フィルの公演スケジュールの間を縫って、公平と弥生が12月14日、聖と芽衣は12月25日の挙式が決まった。

2組の結婚式を盛り上げたいと如月フィルの団員達が申し出てくれ、挙式で弦楽四重奏を生演奏してくれることになる。

そしてもう1つ嬉しいことが。

年末12月31日に、如月フィル初となるジルベスターコンサートの開催が決まったのだ。

カウントダウンの曲は、チャイコフスキー作曲《ピアノ協奏曲 第1番 第1楽章》

ピアニストは、木村 芽衣。

つまり聖と芽衣は、ステージで音楽を奏でながら一緒に新年を迎えることになる。

結婚式の準備のかたわら、何度も重ねるリハーサル。

忙しくも充実した日々を送りながら、二人はドキドキワクワクとその日を待ちわびていた。
< 131 / 145 >

この作品をシェア

pagetop