Bravissima!ブラヴィッシマ
翌朝。

「きゃー!弥生ちゃん、冷たい!えーい!」
「ちょっと、芽衣!顔に当てるのナシよ!」
「先に当てたの弥生ちゃんでしょー!」

朝から楽しそうな二人の声に、聖は寝ぼけまなこで外を見た。

ウッドデッキで芽衣と弥生が雪合戦をしている。

「この寒いのに元気だな。あー、ねむ……」

目をこする聖に、公平がコーヒーを淹れた。

「可愛い笑顔が見られていいじゃないか。はいよ、コーヒー」
「サンキュー」

ダイニングテーブルでコーヒーを飲みながら見ていると、芽衣と弥生は今度は雪だるまを作り始めた。

かなり大きなかたまりに、またしても、重くて持ち上げられなーいと言い出すな、と聖は上着を着てウッドデッキに出た。

よいしょ、と持ち上げて重ねると、二人は喜んで手を叩く。

「聖さん、ありがとう。やったー、完成!あ、まだだった。目と口と手をつけなきゃ。弥生ちゃん、木の枝と石ころ拾いに行こ」

二人で庭を駆け回り、手にたくさんの石と枝を持って戻って来る。

「この口元、愛嬌があるね」
「うん。なかなかの出来!」

最後に芽衣は、雪だるまの前に石を並べた。

『ひめこや』

「芽衣。なに?この『ひめこや』って」
「ん?雪だるまの名前だよ。いい名前でしょ?ひめこやー」
「なにそれ?可愛いのう、ひめこや、みたいな?」
「そうそう。可愛いのう、ひめこやー」

あはは!と楽しそうに笑う二人に、聖も公平と顔を見合わせて笑みをこぼした。
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