Bravissima!ブラヴィッシマ
「もうあっという間!もっといたかったー!」

4日目の朝。
荷物をまとめながら、弥生が騒ぎ出した。

「3泊4日なんて、短すぎる!そもそもこんな素敵な場所があるのが罪なのよ。夢のようなセレブの世界!1度来ちゃったらもう、忘れられないじゃない」

弥生ちゃん、それは八つ当たり、と芽衣は苦笑いする。

「それなら、すぐにまた来たらいいよ。ゴールデンウィークでも、夏休みでも」

聖がそう言うと、弥生の表情はパーッと明るくなった。

「ほんとに?いいの?如月さん」
「もちろん。俺達がいなくても、公平と二人で来たらいいよ」
「やったー!ありがとう!じゃあ、芽衣と二人で来よう!」

すると聖と公平が「なんでだよ?!」と声を揃える。

「だってたまには女同士でおしゃべりしたいもん。公平さんと如月さんも、たまには二人で夜通しおしゃべりしたいでしょ?」

「したくない!」と、これまた二人は声を揃えた。

「弥生。俺と離れてここに来るとか、やめて」
「どうして?」
「寂しいから」
「やだ!公平さんたら、真顔で何言ってるの?」

弥生が照れたように顔を赤らめる。

ラブラブだなーと見ていた芽衣に、聖もささやいた。

「芽衣もだぞ?俺を置いてここに来るなよ?」
「うん、分かった。ガイコツ怖いもんね」
「だから、その話じゃないってーの!」

名残を惜しみつつ、賑やかに別荘をあとにする。

「またね!ひめこやー」

ウッドデッキの雪だるまに手を振ってから、芽衣も皆のあとを追った。
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