Bravissima!ブラヴィッシマ
12月の半ばに、また動画撮影をすることになった。
「今日はね、クリスマスにちなんだ曲にしようと思って。何がいい?」
公平は聖と芽衣の前に楽譜を並べる。
「アンダーソンの《そりすべり》とか、《アヴェ・マリア》とかかなあ?王道しか思いつかないです」
芽衣の言う通り、公平もそういった曲しか用意出来なかった。
「んー、じゃあさ、このクリスマスメドレーをスウィングで弾こうぜ」
聖の提案に「おお、それいいな」と言ってから、公平はチラリと芽衣に目を向ける。
クラシックの奏法ばかりやっていると、いきなりスウィングで弾けと言われても難しい。
「芽衣ちゃん、即興でもいい?」
「はい、大丈夫です」
あっさり頷くと、芽衣は早速ピアノの前に座った。
楽譜を置いてザッと目を通すと、聖とチューニングしてから座り直す。
「よし、じゃあ取り敢えずいってみよう」
「はい」
聖と息を合わせて芽衣は鍵盤に手を載せる。
(うっひゃ!なんだこれ、かっこいい!)
リズミカルでジャジーな芽衣の前奏に、聖もノリノリでメロディを重ねた。
耳なじみのあるクリスマスソングが、オシャレで大人の雰囲気に様変わりする。
楽譜はあるものの二人は互いにアイコンタクトを取りながら、相手を挑発するように「どうだ?」とばかりにアドリブを随所に入れていく。
この瞬間にしか生まれない二人の音楽。
楽しげに挑み合うアドリブ合戦。
踊るように身体を使って、二人は生き生きと演奏する。
熱量が上がり、興奮も高まる中、最後に派手にグリッサンドをしてからタイミングを合わせ、二人はジャン!と手を宙に掲げてラストをキメた。
「ひゃー!しびれるわ。さいっこう!」
「ほんとに。あー、気持ち良かった」
動画を撮っていることも忘れて、二人は演奏後すぐに口を開いてしまった。
「やべっ!」
慌てて公平を振り返る。
「いいよ、そのセリフも込みで。ひと味もふた味も違う二人が見られて、これはこれで貴重な映像だな」
いつも通り1発撮りで撮影は終わった。
「今日はね、クリスマスにちなんだ曲にしようと思って。何がいい?」
公平は聖と芽衣の前に楽譜を並べる。
「アンダーソンの《そりすべり》とか、《アヴェ・マリア》とかかなあ?王道しか思いつかないです」
芽衣の言う通り、公平もそういった曲しか用意出来なかった。
「んー、じゃあさ、このクリスマスメドレーをスウィングで弾こうぜ」
聖の提案に「おお、それいいな」と言ってから、公平はチラリと芽衣に目を向ける。
クラシックの奏法ばかりやっていると、いきなりスウィングで弾けと言われても難しい。
「芽衣ちゃん、即興でもいい?」
「はい、大丈夫です」
あっさり頷くと、芽衣は早速ピアノの前に座った。
楽譜を置いてザッと目を通すと、聖とチューニングしてから座り直す。
「よし、じゃあ取り敢えずいってみよう」
「はい」
聖と息を合わせて芽衣は鍵盤に手を載せる。
(うっひゃ!なんだこれ、かっこいい!)
リズミカルでジャジーな芽衣の前奏に、聖もノリノリでメロディを重ねた。
耳なじみのあるクリスマスソングが、オシャレで大人の雰囲気に様変わりする。
楽譜はあるものの二人は互いにアイコンタクトを取りながら、相手を挑発するように「どうだ?」とばかりにアドリブを随所に入れていく。
この瞬間にしか生まれない二人の音楽。
楽しげに挑み合うアドリブ合戦。
踊るように身体を使って、二人は生き生きと演奏する。
熱量が上がり、興奮も高まる中、最後に派手にグリッサンドをしてからタイミングを合わせ、二人はジャン!と手を宙に掲げてラストをキメた。
「ひゃー!しびれるわ。さいっこう!」
「ほんとに。あー、気持ち良かった」
動画を撮っていることも忘れて、二人は演奏後すぐに口を開いてしまった。
「やべっ!」
慌てて公平を振り返る。
「いいよ、そのセリフも込みで。ひと味もふた味も違う二人が見られて、これはこれで貴重な映像だな」
いつも通り1発撮りで撮影は終わった。