Bravissima!ブラヴィッシマ
「如月さん、大人の色気ってどうやったら出せるんですか?」
「え、いや……。それって、真面目に聞いてる?」
「もちろんです。わらにもすがる思いです」
「それなら、まあ。手っ取り早いのは、男に抱かれることかと」
芽衣はボン!と音が出そうなほど一瞬で顔を真っ赤にしたあと、真顔で頷いた。
「そうですよね。そういう世界を表現した音楽ですものね。ううん、あの曲だけじゃない。他にもたくさん男女の営みを題材にした曲があるんですから、避けて通る訳にはいかないですよね。私、ピアノばかりで誰ともおつき合いしたことなくて……。このままだといけないですよね」
いやいやと、聖は手を伸ばして遮る。
「だからって音楽の為にそこまでしなくてもいいぞ」
「でも私は大人の世界を知って演奏したいんです」
「いや、抱かれたらいきなり色気が出て演奏が上手くなるとは限らないし。それに、ほら。お前の純真さで奏でられる音楽もあるんだからさ」
芽衣がそんな理由で誰かに抱かれようとするのを、聖は必死で止めにかかった。
「カルメンだって……、そうだ!試しにインテルメッツォ弾いてみ。俺も合わせるから」
「はい」
ビゼー作曲、歌劇《カルメン》から第3幕への間奏曲
美しく天まで続きそうな清らかなメロディを奏でると、二人でうっとりと余韻に浸った。
「うん、いいじゃないか。お前の良さが存分に表れてる。素直で真っ直ぐで、透明感に溢れてて。その個性はそのまま大事にしろよ?」
そんなふうに思ってもらえていたとは、と芽衣は驚いて感激する。
「まあその上で、誰かと恋に落ちるのもいいと思う。誰かに愛されて大切にされると、きっとお前の音楽も奥深くなるだろうから。ま、焦ることはないよ。ピアノを弾いてるお前を見て、心奪われる男はたくさんいる」
芽衣はもう耳まで真っ赤になって、恥ずかしさの余り顔も上げられない。
そんな芽衣に気づいていないのか、聖はじっと何かを考え始めた。
「明日さ、三人でちょっと出かけないか?」
「え?どこにですか?」
「うん、ちょっとそこまで。まあ楽しみにしてろ」
「はあ」
腑に落ちないながらも、芽衣は頷いた。
「え、いや……。それって、真面目に聞いてる?」
「もちろんです。わらにもすがる思いです」
「それなら、まあ。手っ取り早いのは、男に抱かれることかと」
芽衣はボン!と音が出そうなほど一瞬で顔を真っ赤にしたあと、真顔で頷いた。
「そうですよね。そういう世界を表現した音楽ですものね。ううん、あの曲だけじゃない。他にもたくさん男女の営みを題材にした曲があるんですから、避けて通る訳にはいかないですよね。私、ピアノばかりで誰ともおつき合いしたことなくて……。このままだといけないですよね」
いやいやと、聖は手を伸ばして遮る。
「だからって音楽の為にそこまでしなくてもいいぞ」
「でも私は大人の世界を知って演奏したいんです」
「いや、抱かれたらいきなり色気が出て演奏が上手くなるとは限らないし。それに、ほら。お前の純真さで奏でられる音楽もあるんだからさ」
芽衣がそんな理由で誰かに抱かれようとするのを、聖は必死で止めにかかった。
「カルメンだって……、そうだ!試しにインテルメッツォ弾いてみ。俺も合わせるから」
「はい」
ビゼー作曲、歌劇《カルメン》から第3幕への間奏曲
美しく天まで続きそうな清らかなメロディを奏でると、二人でうっとりと余韻に浸った。
「うん、いいじゃないか。お前の良さが存分に表れてる。素直で真っ直ぐで、透明感に溢れてて。その個性はそのまま大事にしろよ?」
そんなふうに思ってもらえていたとは、と芽衣は驚いて感激する。
「まあその上で、誰かと恋に落ちるのもいいと思う。誰かに愛されて大切にされると、きっとお前の音楽も奥深くなるだろうから。ま、焦ることはないよ。ピアノを弾いてるお前を見て、心奪われる男はたくさんいる」
芽衣はもう耳まで真っ赤になって、恥ずかしさの余り顔も上げられない。
そんな芽衣に気づいていないのか、聖はじっと何かを考え始めた。
「明日さ、三人でちょっと出かけないか?」
「え?どこにですか?」
「うん、ちょっとそこまで。まあ楽しみにしてろ」
「はあ」
腑に落ちないながらも、芽衣は頷いた。