Bravissima!ブラヴィッシマ
カウントダウンと恋心
「年末大掃除ー!」

翌日。
朝から元気な声を張り上げる芽衣に、聖はうんざりと顔をしかめた。

「なんで掃除にそんな喜びを見い出せるんだよ?」
「だって今日は大みそか!掃除が終わればジルベスターですよ。ほら、さっさと済ませて被り物買いに行きましょ!」
「お、そうだった。よーし、開いてる店あちこち探しに行くぞ!」
「オー!」

すると後ろから冷静な公平の声がする。

「あ、俺そういう行き当たりばったり嫌なの。ちゃんと調べてから行く」

そう言ってスマートフォンを操作し、店のホームページをチェックすると、ご丁寧に電話までかけて確認した。

「大型スーパーのテナントに100円ショップがあって、今夜7時までやってるって。そこに正月飾りや干支のぬいぐるみ、Happy New Year のサングラスもあるってさ」
「えー、まあ、情報はありがたいけどさ。そういうのは色々探してようやく見つけるから喜びもひとしおなんだよ。公平には冒険心ってもんがないのか?」
「じゃあ、あちこち探して見つからなかったら?」

うっ……と聖は言葉に詰まる。

「まあまあ、とにかく先にお掃除しましょ!買い物楽しみ!」

芽衣はご機嫌で窓拭きを始めた。
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