Bravissima!ブラヴィッシマ
楽しく夕食を囲んだあとは、サプライズで聖の誕生日をお祝いする。
芽衣がピアノでゴージャスにハッピーバースデーの曲を弾き、公平がろうそくを立てたケーキを運んできた。
まったくの不意打ちで聖は随分戸惑っていたが、最後には「ありがとう」と照れたように笑ってケーキをぺろりと平らげた。
そのあとは念入りにガーシュウィンをさらい、年越しそばを食べるといよいよ二人は楽器を前にして気合いを入れる。
公平も撮影の準備を整えた。
三人で大画面のテレビに注目する。
「それでは、2025年へのカウントダウンの始まりです。曲はガーシュウィン作曲の《ラプソディ・イン・ブルー》」
MCのセリフのあと、指揮者がアップで映し出された。
ゆっくりと団員達を見渡したあと、クラリネット奏者に頷く。
低音のトリルからグリッサンドで駆け上がるクラリネットソロ。
それに合わせて指揮棒が振られた。
ゆったりと少し気だるげに始まるジャジーな曲。
そこにピアノが加わり、華やかな金管楽器が盛り上げる。
公平はカメラワークを確認しながら、テレビと二人を見比べていた。
(お遊び気分で面白半分に捉えてたけど、聖も芽衣ちゃんも真剣だな)
二人はテレビの指揮を見ながら、息を揃えて本気で弾いている。
(この二人にとって、音楽に対して手を抜くなんてこと、考えられないんだろうな)
やはり自分とは違う世界にいる人種。
音楽の神様に愛された天才。
そこに凡人の自分がつけ入る隙などないのだ。
(芽衣ちゃんにふさわしいのは俺じゃない。音楽面だけでなく、彼女の気持ちに寄り添えるのも、彼女の悩みを本当に理解出来るのも、たった一人。聖だけだ)
そう冷静に自分に言い聞かせる。
音楽家の道を諦めた時と同じように、芽衣への想いも諦めなければ。
今ならまだ大丈夫。
ほんの少し芽生えた恋心は、きっとほろ苦い思い出に変えられるだろう。
(俺はこの二人を全力でサポートする)
それは自分にしか成し得ない。
他の誰にも任せたくない。
(俺が必ず二人をもっと輝かせてみせる)
公平はそう己を奮い立たせていた。
芽衣がピアノでゴージャスにハッピーバースデーの曲を弾き、公平がろうそくを立てたケーキを運んできた。
まったくの不意打ちで聖は随分戸惑っていたが、最後には「ありがとう」と照れたように笑ってケーキをぺろりと平らげた。
そのあとは念入りにガーシュウィンをさらい、年越しそばを食べるといよいよ二人は楽器を前にして気合いを入れる。
公平も撮影の準備を整えた。
三人で大画面のテレビに注目する。
「それでは、2025年へのカウントダウンの始まりです。曲はガーシュウィン作曲の《ラプソディ・イン・ブルー》」
MCのセリフのあと、指揮者がアップで映し出された。
ゆっくりと団員達を見渡したあと、クラリネット奏者に頷く。
低音のトリルからグリッサンドで駆け上がるクラリネットソロ。
それに合わせて指揮棒が振られた。
ゆったりと少し気だるげに始まるジャジーな曲。
そこにピアノが加わり、華やかな金管楽器が盛り上げる。
公平はカメラワークを確認しながら、テレビと二人を見比べていた。
(お遊び気分で面白半分に捉えてたけど、聖も芽衣ちゃんも真剣だな)
二人はテレビの指揮を見ながら、息を揃えて本気で弾いている。
(この二人にとって、音楽に対して手を抜くなんてこと、考えられないんだろうな)
やはり自分とは違う世界にいる人種。
音楽の神様に愛された天才。
そこに凡人の自分がつけ入る隙などないのだ。
(芽衣ちゃんにふさわしいのは俺じゃない。音楽面だけでなく、彼女の気持ちに寄り添えるのも、彼女の悩みを本当に理解出来るのも、たった一人。聖だけだ)
そう冷静に自分に言い聞かせる。
音楽家の道を諦めた時と同じように、芽衣への想いも諦めなければ。
今ならまだ大丈夫。
ほんの少し芽生えた恋心は、きっとほろ苦い思い出に変えられるだろう。
(俺はこの二人を全力でサポートする)
それは自分にしか成し得ない。
他の誰にも任せたくない。
(俺が必ず二人をもっと輝かせてみせる)
公平はそう己を奮い立たせていた。