Bravissima!ブラヴィッシマ
ドリームステージ
「それではこれより、ドリームステージについてのミーティングを始めます。よろしくお願いいたします」

合宿から帰って来ると、公平も聖も早速仕事に追われた。

如月シンフォニーホールの会議室に集まり、事務局長の公平の進行でミーティングが始まる。

部屋には、如月フィルの常任指揮者の金井、館長の石田、コンマスの聖、各楽器のセクションリーダーやパートリーダー達、そして理事長が顔を揃えていた。

「まず初めに、ドリームステージの概要についてご説明します。その名の通り、一般の方が如月フィルと一緒に演奏する、まさに夢を叶える舞台という設定です。たとえば、オーケストラを指揮してみたいお子様、オケをバックに歌声を披露したいアマチュア声楽家の方、コンチェルトで共演したい学生さんなどを募集します。狙いとしては、如月フィルを市民の皆様に身近な存在だと感じていただくこと、音楽の普及に努めること、話題性のあるイベントを行って如月フィルの知名度を上げることなどです」

手元の資料に目を通しながら、皆は公平の言葉に耳を傾けている。

「いよいよ明日から大々的に告知を開始して、希望者を募ります。締め切りは来月末。簡単な経歴と、このステージで叶えたい夢を応募フォームに記入していただき、30秒ほどの演奏動画を提出していただきます。それをもとに審査を行い、3月初旬に参加者を決定、3月15日が本番となります」

そこまで言うと公平は資料を置いて顔を上げた。

「今回が初めての試みとなりますので、進めていくうちに色々な課題や問題点が出て来るかと思います。どうぞ皆様、ご協力のほどよろしくお願いいたします」

頭を下げると、パサッと資料を閉じて指揮者の金井が口を開いた。

「いい企画だと思いますよ、高瀬さん。よく考えつきましたね。どんな参加者が集まるのか、今から楽しみです」
「ありがとうございます、マエストロ。たくさんの応募が集まるように、宣伝活動にも力を入れていきます」
「ああ。私も出来る限り協力します。良いステージになるといいですね」

すると他のメンバーも頷く。

「私も今から楽しみです。楽器を始めた頃の気持ちを思い出しますね」
「ええ。この企画がもっと昔からあれば、間違いなく自分も応募してました」
「分かります!本当に夢舞台ですもんね」

口々に笑顔で話すメンバーに、公平はホッと胸をなで下ろす。

(まずは第一関門クリアかな。あとはどれくらい希望者を集められるかだ。SNSの発信も頻繁に行わないと)

近いうちにまた芽衣と聖の動画を撮影しようと、公平は改めてスケジュールを確認することにした。
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