Bravissima!ブラヴィッシマ
それから10日後の2月28日。

ドリームステージの応募締め切りギリギリに滑り込んで来た申し込みフォームに、公平は驚いて目を見開いた。

(これって、芽衣ちゃん?!)

事務局のデスクで、何度も名前と年齢、所属学校名を確認する。

添付されている演奏動画を急いで聴いてみた。

その音で確信する。

(間違いない。この音は芽衣ちゃんだ。どうして応募したんだ?選ばれたら、大きなステージに立つことになるのに……)

佐賀教授に連絡して事情を聞いてみよう。

そう思って電話に手を伸ばしたが、思い留まった。

(いや、そんなことは出来ない。彼女はごく普通に一般応募してきたんだ。それに対して俺が特別に何かをする訳にはいかない)

あくまで応募者の一人として、他の応募者と同じように。

公平は心を落ち着かせながら、そう自分に言い聞かせた。
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