Bravissima!ブラヴィッシマ
「公平!」

動画の再生が終わると、聖は席を立って公平を廊下に連れ出した。

「どういうことだ?どうして彼女が?」
「俺も分からない。普通に応募者の中に彼女がいたってだけだ」
「何も聞いてないのか?彼女からも、佐賀先生からも?」
「ああ、何も。こちらからも連絡してない」
「どうしてだ?彼女が選ばれたら、大きなステージに立つことになるんだぞ?それを承知の上で応募してきたのか?もしかしたら、佐賀先生が荒療治のつもりで彼女に内緒で応募したのかも」

一気にまくし立てる聖に、公平は落ち着けとばかりに少し間を置いてから、ゆっくりと口を開く。

「聖。たとえどういう経緯だとしても、俺達がやるべきことは他の応募者と同じように審査することだ。私情を挟んだりせずにね」
「その結果、彼女が選ばれたら?」
「それだって俺達が口出しすることじゃない。彼女自身の問題だ」

聖は険しい顔で視線を落とす。

心配と、もどかしさと、やるせなさ……
色んな感情が込み上げてきた。

「ほら、聖。審査まだ終わってないんだろ?5つに絞ってから提出してくれ」

そう言って公平は聖を会議室に促した。
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