Bravissima!ブラヴィッシマ
リハーサル
いよいよ3月15日。
ドリームステージ本番当日がやって来た。

公平は朝からバタバタと対応に追われる。

参加者の控え室を割り振り名前を貼り出すと、案内は他の事務局員に任せてホールへと急ぐ。

ステージマネージャーと配置や転換を打ち合わせ、音響、照明、MCとも確認する。

しかも今日のステージは、ローカル局とは言えテレビ放送されることも途中から決まった。

それだけ大きな反響を呼んだということだろう。

チケットの一般販売も、低価格とは言え既にソールドアウト。

参加者達だけでなく、如月フィルにとっても大切な日になることは間違いなかった。

そんな公平のかたわらで、聖もまた慌ただしく動き回っていた。

マエストロとの打ち合わせ、曲順や動きの確認、団員達からの乗り番降り番の質問。

とにかくいつもとはまるで勝手が違う。

参加者は素人ゆえ、思わぬアクシデントも考えられる。

演奏にばかり気を取られる訳にはいかない。

なにせ参加者一人一人の大切な夢舞台なのだから。

自分達の失敗は許されない。

聖は固く心に決める。

(たとえ何があってもフォローする)

それはもちろん、芽衣に対してもだった。
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