Bravissima!ブラヴィッシマ
「木村 芽衣と申します。どうぞよろしくお願いいたします」
ステージに現れた芽衣を、団員達が温かい拍手で迎える。
これまでの参加者とは違うリハーサルになる為、芽衣はマエストロと相談しながら合わせてみることになった。
「通す時間はないので、気になる箇所だけの確認になるけどいいかな?」
「はい、大丈夫です」
「じゃあまずは頭からやって途中で止めるよ。そのあとは、テンポや入りを何か所か確認しよう。君に合せるから、自由に弾いてね」
「はい、ありがとうございます」
芽衣は深々とお辞儀をしてから、ピアノの前に座った。
いつもと同じようにラフな服装で、髪を一つにまとめている。
聖はその姿をコンマス席からじっと見つめた。
久しぶりに会う芽衣は、すぐ手の届く距離にいるのに遠い存在に思える。
声をかけたいが、なんと言えばいいのか分からない。
大丈夫なのだろうか?
様子を気にするものの、後ろ姿からは何もうかがい知ることは出来なかった。
気を取られていた聖は、マエストロの視線を感じて慌てて姿勢を正す。
マエストロは聖と芽衣の両方に視線を配ると、指揮棒を構えた。
舞台にいる全員の意識がグッと集まる。
スッとブレスを取り、力強く曲が始まった。
そこにまるで魂をこめたような芽衣の一撃が加わる。
聖はハッとして目を見開いた。
一気に曲に惹き込まれ、雑念が取り払われる。
芽衣の心配など、している暇はない。
する必要もなかった。
ゾクゾクと背筋が震え、身体中の血が脈打つ。
興奮に呑みこまれないよう、聖は必死で己の気持ちを研ぎ澄ませて音を奏でた。
マエストロが指揮棒を軽く振って、ようやく音を止める。
「いやー、ごめん。もっとすぐに止めるつもりだったんだけど、止められなかった。第10変奏までやっちゃったな」
そう言ってマエストロは芽衣に笑いかけた。
「あとは本番のお楽しみにとっておいてもいいかい?」
「はい、大丈夫です」
「うん。ちゃんと君に合せるから、心配しないで。いやー、楽しみだな」
満面の笑みで指揮台を下りるマエストロに、芽衣はもう一度「本番よろしくお願いします」と頭を下げた。
ステージに現れた芽衣を、団員達が温かい拍手で迎える。
これまでの参加者とは違うリハーサルになる為、芽衣はマエストロと相談しながら合わせてみることになった。
「通す時間はないので、気になる箇所だけの確認になるけどいいかな?」
「はい、大丈夫です」
「じゃあまずは頭からやって途中で止めるよ。そのあとは、テンポや入りを何か所か確認しよう。君に合せるから、自由に弾いてね」
「はい、ありがとうございます」
芽衣は深々とお辞儀をしてから、ピアノの前に座った。
いつもと同じようにラフな服装で、髪を一つにまとめている。
聖はその姿をコンマス席からじっと見つめた。
久しぶりに会う芽衣は、すぐ手の届く距離にいるのに遠い存在に思える。
声をかけたいが、なんと言えばいいのか分からない。
大丈夫なのだろうか?
様子を気にするものの、後ろ姿からは何もうかがい知ることは出来なかった。
気を取られていた聖は、マエストロの視線を感じて慌てて姿勢を正す。
マエストロは聖と芽衣の両方に視線を配ると、指揮棒を構えた。
舞台にいる全員の意識がグッと集まる。
スッとブレスを取り、力強く曲が始まった。
そこにまるで魂をこめたような芽衣の一撃が加わる。
聖はハッとして目を見開いた。
一気に曲に惹き込まれ、雑念が取り払われる。
芽衣の心配など、している暇はない。
する必要もなかった。
ゾクゾクと背筋が震え、身体中の血が脈打つ。
興奮に呑みこまれないよう、聖は必死で己の気持ちを研ぎ澄ませて音を奏でた。
マエストロが指揮棒を軽く振って、ようやく音を止める。
「いやー、ごめん。もっとすぐに止めるつもりだったんだけど、止められなかった。第10変奏までやっちゃったな」
そう言ってマエストロは芽衣に笑いかけた。
「あとは本番のお楽しみにとっておいてもいいかい?」
「はい、大丈夫です」
「うん。ちゃんと君に合せるから、心配しないで。いやー、楽しみだな」
満面の笑みで指揮台を下りるマエストロに、芽衣はもう一度「本番よろしくお願いします」と頭を下げた。