Bravissima!ブラヴィッシマ
いつも自分を支え、寄り添うようにピアノを弾いてくれた芽衣。

その芽衣を、今日は自分が支える。

聖は、全身を使って力強くピアノを奏でる芽衣の背中をじっと見つめた。

一瞬の狂いもない音の掛け合い。
ピタリとはまる音の粒。
感情のうねりで広がる幅。

全てが完璧に重なる。

そうだ。
いつだって芽衣は、自分にとっての最高のパートナーだ。

互いを認め合い、信頼し合い、高め合っていける唯一無二の存在。

芽衣となら、自分の限界を超えられる。
芽衣となら、新たな音楽を作り出せる。

生み出されたあと、やがて消えてしまう音。
だからこそ、そこに全てをかける。

形のないものを、言葉を使わず心に伝える。
気持ちを音に乗せて、真っ直ぐに届ける。

想いを込めて、魂を込めて。
今自分が持てる、全てをかけて。
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