Bravissima!ブラヴィッシマ
壮大なラストに向けて、芽衣はありったけの力を振り絞る。
体力と集中力の限界。
それを感じないほど、今の自分は何かの力に満ち溢れている。
音楽の神様が、自分を導いてくれている気がした。
そこにたどり着きたくて、その手を握りたくて、芽衣は駆け上がるように高い音へとピアノに指を走らせる。
オーケストラの音が、グッと自分を高みへと押し上げてくれた。
パーッと明るい世界が開け、最後の音が空気に溶けると、芽衣は天を仰いで息をついた。
何も考えられない。
どこにも力が残っていない。
静けさの中、放心していた芽衣は、急に割れんばかりの拍手が聞こえてきてハッと我に返る。
ホール中の人が感激した面持ちで拍手を送ってくれていた。
芽衣は慌てて立ち上がり、深々とお辞儀をする。
顔を上げても鳴り止まない拍手。
感謝の気持ちで客席を見渡すと、中央の席に佐賀教授の姿が見えた。
感極まったように、小さく何度も頷いて手を叩いている。
その隣には、眉をハの字に下げ、懸命に涙を堪えている弥生。
芽衣はようやくいつもの自分に戻り、ふっと笑みをもらした。
(弥生ちゃんたら……、ありがとう。佐賀先生も、ありがとうございました)
もう一度頭を下げると、芽衣はオーケストラを振り返る。
「マエストロ、ありがとうございました」
「いやー、良かったよ。やり切ったね」
「はい。本当にありがとうございました」
マエストロは芽衣にハグをして、嬉しそうに破顔した。
最後に芽衣は、コンサートマスターの聖と握手をする。
「ありがとうございました」
すると聖は、グッと芽衣の手を引き寄せた。
「 Bravissima ! 」
耳元でささやかれ、芽衣は一瞬驚いてから聖を見上げる。
優しく笑いかけてくれる聖に、芽衣も満面の笑みを浮かべた。
見つめ合う二人に、いつまでも温かい拍手は鳴り止まなかった。
体力と集中力の限界。
それを感じないほど、今の自分は何かの力に満ち溢れている。
音楽の神様が、自分を導いてくれている気がした。
そこにたどり着きたくて、その手を握りたくて、芽衣は駆け上がるように高い音へとピアノに指を走らせる。
オーケストラの音が、グッと自分を高みへと押し上げてくれた。
パーッと明るい世界が開け、最後の音が空気に溶けると、芽衣は天を仰いで息をついた。
何も考えられない。
どこにも力が残っていない。
静けさの中、放心していた芽衣は、急に割れんばかりの拍手が聞こえてきてハッと我に返る。
ホール中の人が感激した面持ちで拍手を送ってくれていた。
芽衣は慌てて立ち上がり、深々とお辞儀をする。
顔を上げても鳴り止まない拍手。
感謝の気持ちで客席を見渡すと、中央の席に佐賀教授の姿が見えた。
感極まったように、小さく何度も頷いて手を叩いている。
その隣には、眉をハの字に下げ、懸命に涙を堪えている弥生。
芽衣はようやくいつもの自分に戻り、ふっと笑みをもらした。
(弥生ちゃんたら……、ありがとう。佐賀先生も、ありがとうございました)
もう一度頭を下げると、芽衣はオーケストラを振り返る。
「マエストロ、ありがとうございました」
「いやー、良かったよ。やり切ったね」
「はい。本当にありがとうございました」
マエストロは芽衣にハグをして、嬉しそうに破顔した。
最後に芽衣は、コンサートマスターの聖と握手をする。
「ありがとうございました」
すると聖は、グッと芽衣の手を引き寄せた。
「 Bravissima ! 」
耳元でささやかれ、芽衣は一瞬驚いてから聖を見上げる。
優しく笑いかけてくれる聖に、芽衣も満面の笑みを浮かべた。
見つめ合う二人に、いつまでも温かい拍手は鳴り止まなかった。