Bravissima!ブラヴィッシマ
「芽衣ちゃん!素晴らしかったよ、おめでとう!」

舞台袖に戻ると、公平が感激して芽衣にハグをする。

「高瀬さん!ありがとうございました」
「やったな、芽衣ちゃん。よくがんばったな」

まるで自分のことのように喜んでくれる公平に、きっと自分の知らないところでずっと気にかけてくれていたのだろうと、芽衣は悟った。

「イスラメイちゃん、最高の演奏だったぞ!ありがとう!」

理事長はガバッと抱きついてきたかと思うと、バシバシと背中を叩いて喜んでくれる。

「ありがとうございます。イタタ……」

そして芽衣は、控え室へと続く廊下で佐賀教授の姿を見つけた。

「先生!」

声をかけると、教授は優しく、感慨深く芽衣に微笑んだ。

「よくやった。さすがは私の愛弟子だ。ようやく乗り越えたな」
「はい。先生のおかげです。本当にありがとうございました」
「こちらこそ、感動をありがとう。私が教えられることは全て伝えた。これからは自分を信じて、思い切り羽ばたいていきなさい。卒業、おめでとう」
「先生……」

芽衣の目に涙が浮かび、言葉に詰まる。

「先生に指導していただいて、本当に幸せでした。4年間、ありがとうございました」

芽衣は深々とお辞儀をする。

最後に弥生が飛びついてきた。

「めーいー!でかした!この私を泣かせるなんて、やってくれたわねー。見てらっしゃい、明日私もやり返してみせるから」
「うん!楽しみにしてるね、弥生ちゃんの演奏」
「おう!」

芽衣と弥生は互いの手を握り、笑顔で笑い合う。

この日。
芽衣は夢のような舞台で、過去の自分を乗り越えた。
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