恋する花束を君に
「とにかく、明日じゃないと写真撮れないから!じゃっ!」
そう言って、航太は逃げて行った。
わたしは自分のデスクに戻ると、大きな溜め息をついた。
そんなわたしを見て「大きな仕事任されている人は大変だね。」と隣のデスクに座る絵里が言った。
「締切明日なのに、、、二日酔いで休みだなんて信じらんない。」
「確かにね。それなら、前もって撮っておいて欲しいよね。」
「ホントだよ。」
「でもさ、なごみは凄いよね。」
「えっ?」
「まだ入社2年目なのに、前にイベント販促物の担当してたチーフの代わりになごみが抜擢されてさ。わたしなんて、通常POPしか任されてないんだよ?羨ましいよ。」
絵里はそう言うと、「ねぇ?由美子。」と由美子に話しを振った。
由美子は突然話しを振られたことに驚いていたが、「う、うん、羨ましいよ。わたしだって、プライスカードくらいしか担当がないからね。」と言った。
2人に羨ましいと言われ、何と返して良いか分からなくなるわたし。
今わたしが担当している仕事をしていた前任のチーフは、妊娠を期に退職した。
そして、そのあとをわたしが引き継いだのだ。
わたしはチーフとまではいかないが、仮ということになっているらしい。
別に自分から立候補したわけではない。
販促課の部長がわたしを指名して、それで担当になっただけだ。
わたしはとりあえず、今日出来ることをして、明日写真が届いたらすぐにデザイン出来るように準備だけをしておくことにした。
明日は残業確定だなぁ。
そう思うだけで、憂鬱になるのだった。